中央大学ビジネススクール
【日本の労働法政策】
第4回
労働時間、WLB

こんばんは。

1週間の間が空きましたが、ゴールデンウィークという名の、単に家にいただけの方々が多いと思いますけども、

今日は労働時間法政策をメインにお話をいたします。

ここにあるように、今日は労働時間とワークライフバランスということで、ちょっとテキストの構成とは若干違うんですが、

なんて言いますか、今日やる労働時間のお話とそれから次回やる賃金賃金処遇の話っていうのは結構中身が多いというか、

働き方改革でかなり大幅に改正がされたということもありますし、それまでもいろいろと動きがあったので若干その他の章よりは分量が多いということもあるので、

相対的にむしろ少ないトピックであるワークライフバランスと、テキストの中では後ろの方の労働時間、労働人権法政策の方に載っているんですけども、それをちょっと持ってきました。

なんでそういうふうにするかっていうと、まずそもそもテキストの構成から言うとですね、

今やってるのは労働条件法政策ということで、前回は労災補償、安全性をやりましたし、

今回労働時間やり、次回賃金あり、さらに労働契約をやるというそういう話なんですね。

次に労働人権法政策という柱を立てて、そこに男女均等政策とか、ワークライフバランスとか、あとハラスメントを中心としたその他の人権法政策というので一つ立てているんです。

立てているんですが、何でそういう立て方してるかっていうと、これはどちらかというと経緯によるもので、

ワークライフバランスの政策というのは、内容的には労働時間、あるいはその広い意味で1日の労働時間っていう意味もあるし、あるいはもうちょっと長い

期間の中で休業してみたりといったようなものの、広い意味での労働時間で関わる話なので、そういう意味では広い意味での労働時間法政策に入る話なんですね。

ただ、育児介護休業法という形で、ワークライフバランスに関する法制度が発展してくるプロセスというのは、これはテキストの上ではその直前に置いてある男女雇用機会均等の話と、非常に密接に裏腹の関係で発展してきたってこともありえるので、そちらの方に置いてるわけです。

何て言うかテキストはそういう構成にしてるので、その方がわかりやすいっていうのはわかりやすいんですが、ただちょっと今回の講義では、

労働時間ところがちょっと分量が多すぎるので、その一コマで詰め込みというとややその

なんていうか窮屈すぎる、といって2コマこれに当てちゃうと、若干の間延びしてしまうというなかなか難しいところなので、

ちょっと分量が多すぎる労働時間と分量がやや少なめなワークライフバランスは、中身的には広い意味で労働時間に関わることであるということで、

今日2コマに1.5と0.5を足して２なるような形で、今日こういう形でのお話ということにしてみたわけです

なのでちょっと最初の労働時間ところがちょっと長めになると思うんですが、途中で休みを取り入れるというよりは、ちょっと長めになりますけども一気にお話をしていきたいというふうに思っております。

テキストの立て付けで言うと

第三部労働条件法政策の第四種の労働時間法政策

ということで、最近二、三十年ぐらいの、その動きの以前のところを、この第1節労働時間法制展開っていうところにまとめています。戦前の工場法から戦後の労働基準法といった話の流れになります。

テキストに詳しいことが書いてあるのでそれを見ていただければ済む話ではあるんですけども、基本的にはこれは高校の世界史の教科書にも必ず出てくるように、

産業革命で世界をリードしたイギリスは、19世紀の初め頃、

1800年代の初め頃に、工場法というのを作りました。イギリスのこれが他の国にもだんだん広がっていきます。

基本的に、このイギリスで作られ他の国々に広まっていた工場法っていうのは、中身は、もちろん安全性とか何とかって話もないわけじゃないんですが、基本的には

女子と児童

の労働時間の上限を規定するというのが主たる

内容であった。

ちなみにこれは

ちょっと後の方にちらっと出てくる話と関わりがあるんですが、イギリスはそういう意味では女子供に対する労働時間規制という意味では世界の先頭を切ったんですが、

実は非常に長い間、成人男子に対する労働時間規制っていうのは、法律上は存在しませんでした、なかったんです。

一体そんなものいつ出来たかっていうと、意外に思うかもしれませんが、実はブレア政権、1990年代にサッチャー、メージャー後に労働党政権になって、ブレアが

政権とっていた。それまで実はなかったという、

ちょっと変わった国です。

これいろんな理由がありますけども。

他の国々は、これはもう非常に様々ですが、だいたい20世紀の前半ぐらいにですね、成人男子の労働時間規制っていうのも徐々に導入をされていっています。

日本ですが、前回あの工場法の制定のところについては、

若干詳しくお話をしましたけども

とにかく30年ぐらいかけて、なかなかその経営側の反発が強くて、

当初話を始めてから、

成立するまで30年かかったんですが、1911年に、あの明治の末に工場法が制定され、

この工場法の中身、前回お話をしたような、労災とか安全性に関する根拠規定もあったんですが、一番重要なのは、女子年少者、

年少者っていうのは、今の今労働基準法で年少者っていうと18歳未満ということなんですが、当時の年少者ってのは15歳未満

なんですが、について、1日の労働時間、工場法上の言い方では終業時間ってありますが、の上限を12時間に制限する。

それから午後10時から午前4時までの深夜業、夜間労働というものを、女子と年少者については禁止する

というのが主たる中身と

いうことです。

ただこれも前回お話したように、工場法というのは、そもそも名前が工場法であることからもわかるように、工場以外に適用するものではありません。

しかも工場であっても、当初は職工15名以上、その後は職工10名以上になりますけども、基本的に非常に零細な工場には適用されなかったんで、

適用されている労働時間規制があったと言っても、それの適用対象は実はかなり限られたものであったのは確かです。ただまあそうはいっても日本における労働時間

規制の出発点ということでは非常に重要な意味があります。

これが戦前改正もされますが、実はちょっと興味深い戦前のエピソードとして、商店法っていうのがあります。

これは1937年ですから、もう私の時代区分から言うと、社会主義の時代にそろそろ入ってる時代

なんですが、もうすでに日中戦争が始まってる時代なんですが、商店法という法律が作られました。

工場法に限らず、工場法という製造業だけでなく、第三次産業のある部分についても、一定の

ある種の労働時間規制を適用しようという考え方で作られた法律なんですが、今労働時間規制って言ったんですけど、

厳密に言うと、労働時間規制ではないんです。

これテキストで言うと 383ページの真ん中辺りになりますけども、

これ、

労働時間というよりはむしろ、店の

閉店時間を規制するんですね。

閉店時刻は原則として午後10時だと、

あと一定のかなり大規模な店舗については就業時間について1日1１時間っていうのを入れてるんですが、そうでないところについては、むしろ閉店規制。

実はこの閉店規制っていうような法律が日本に存在したのは、この商店法だけです。

1937年にできて戦後もうこの先人法令って無くなってるんで、こういう法律でもってですね、店閉めろっていうような法律って、戦後の日本には存在してないんですが、

これはヨーロッパに行かれた方はご存知だと思いますが、ヨーロッパは実はそういう規制っていうのがあります。最近かなり緩んできたんですが、私がいた、もう

数年５，6年前ぐらいになると、とにかく日曜日はとにかく店閉めろって原則だし、夕方も何時になったら店閉めるって法律があって、結構それは厳格に守られていました。

そういうやり方の、ある意味間接的な労働時間規制なんですが、逆に言うと日本はそういうのはないままアメリカからセブンイレブンなるものがやってきて、

セブンイレブンだと言ってるのがいつの間にか店の

店の名前セブンイレブンイレブンというような、実際もう24時間365日ことごとく開いていて、開いてなかったら

店を潰すぞみないなことをやるぐらいになっちゃって、かつてそういう商店法なんていう法律があったってことはほとんど今の日本では誰も知られてないと思いますが、そういう意味ではこれどちらかっていうとやや

トリビア的な話ではあるんですが、戦後日本の感覚から言うと、

なんていうか店を開けている時間の規制というようなスタイルというのも、実は世の中にはあるんだということを、

考えておく必要がもしかしたらあるのかなということを、ちょっと考えさせるエピソードではあります。

テキストではほんの数行書いてない話なので、延々と言うって話ではないのかもしれませんが、ちょっと面白い話だと思います。

それから次の括弧５の話（スライド１）、これもややトリビアなエピソードではあるんですが、だいたいものの本にはですね、戦前の

工場法は女子年少者のみ規制していた。

戦後の労働基準法は成人男子も含めて労働時間規制を

普及をしたんだっていうなことが書いてあって、それは概ねおおむね間違いではない、ただ

厳密に言うと、成人男子に労働時間規制というものが

行われたのは、戦後の労働基準法が完全な出発点というわけでは必ずしもなくて、実は戦時中の

重要事業所労務管理令という、国家総動員法に基づく勅令ですけども、これによって一定の製造業

については、16歳以上の男子職工の就業時間というものを12時間以内というふうに定めるという

そういう非常に限定的なものであるんですが、ただそれ言い出したら、工場法だってその適用対象が必ずしもそんなに広いわけじゃないってことを考えれば、実はこれは一番最初に申し上げた、

戦後改革で導入された労働法系の相当部分は実は戦時中にその出発点があるんだっていうことを、結構お話をしてきています。最初の労働者派遣の話から始まって、結構繰り返しそういう話して

いますが、実は労働時間についても、ちょっとややみみっちい話ではあるんですけども、そういう面あるということをこの括弧５というところでお話をしておきます。

で、それが戦前から戦時中ですね。戦後、労働基準法が作られますね。この話も前回繰り返ししましたが、この間、日本で戦前明治の末に工場法が作られてから

戦後労働基準法が制定されるまでの間、

いわゆる戦間期と言われる間に、他の先進諸国では、ILO条約がつくられ、

労働時間についてもILO条約が制定される。あるいは先進諸国で

かなり次々と成人男性も含めた労働時間規制というのが続々と進むという傾向があり、そういう意味で言うと、この戦後すぐの段階、

1947年に労働基準法が作られる段階においては、そのモデルとなるような労働時間に関する規制法令というのは諸外国にすでに存在していたということに

なります。

でそのうち、

ものの本でも必ずそうなんですが、一番重要だと言われるのは法定労働時間で、戦前は女子年少者についてのみ1日12時間という

あるいは改正されて一日中11時間っていうそういう上限であったものが、1日8時間週48時間、今は週40時間ですけど、この終戦直後に作られたときは週48時間です。

1日8時間で、6日フルに働くと、週48時間になります、

という法定労働時間が設定をされました。

これは1919年にILO第1回総会で作られた。

ILOの第一条の批准というものに、基本的には沿ったものといえます。１日8時間週48時間。

ただ、実はこのILO条約のILOの第

1号条約、今から100年以上前ですね、1919年ですから今から102年前に作られたILO第1号条約というものを日本は長らく批准することができませんでした。

今はもう批准することができるようになったと思うんですが、今さら基準するっていうな話じゃないと思いますが、それは何かっていうと、実は時間外休日労働について、普通の成人男子については上限というのが、

全く法律上制定されていなかった。

これはあの、ILO一号条約では、具体的な数字は入っていませんが、何らかの時間外休日労働上限を設定すべきという規定があるのでちょっとそれもあって、ILOの1号条約というのも批准できない

いうことになります。

この時間外休日労働に上限がないというのが、実は

3年前の2018年の働き方改革

推進法により改正されるまでの、日本の労働時間法制のある意味最大の特徴であったと言えます。

もう少し厳密に言うとですね、実はこの戦後の1947年の労働基準法は、成人男子については時間外休日労働については青天井、

これ以上働いてはいけないというものはないんですが、女子年少者については、基本的に時間外休日労働は禁止です。

女子について言うと、休日労働が原則禁止で、問題は時間外労働についてなんですが、女子については、1日2時間、1年間150時間という、あの上限が労働基準法上に規定があります。

そういう意味からいうとですね、これは労働時間というものをどういうものと見るかにもよるんですが、戦前の工場法は、

成人男子は、労働時間規制はありません。

女子年少者については、１日12時間、あるいは11時間という、上限規制があります。

戦後の労働基準法はというと、もちろん１日8時間週48時間という法定労働時間はあるんですが、しかし３６協定を結び、各残業代をきちんと払えば、

成人男子については、無制限の

青天井の時間外休日労働をやらせることができるんですね。

しかし女子年少者はそうじゃありません。

女子についていうと、一日1 2時間年間150時間という上限を超えて働くことはできないという意味では、戦前と戦後ってガラリと変わったと言われがちなんですが、しかし、

実はそんなに変わってるかなという

そこの感じもしないわけではありません。

むしろどこに着目するか、ある意味でいうと戦後の労働基準法における法定労働時間ってのは一体どういうものであったかっていうと、そこから残業代の割増がつく時間、

別に働いていい・悪いという時間ではなくて、そこを超えたら割増がつく

時間というぐらいの意味しかなかったのかもしれない、

この辺が日本の長時間労働の一つの原因になってるのは確かにある

というふうに思います。

もう一つ実は、

いわゆる労働時間規制に比べるとやや

小さな話に思えるかもしれないんですが、年次有給休暇についても日本はかなり独特です。

どこが独特なのかというとですね、

法律ができたときはその最初は6日から始まって、毎年1日ずつ増えていて最高は８日ですよと。これ今は最初は10日から始まって、もう少し早くどんどん増えていて最後は20日ですよ

っていうふうになってる。

ここ自体が、もちろんもっと多い国もありますが、実は本質的な違いではありません。

この年次有給休暇について、日本の戦後の労働基準法制の最大の特徴は何かっていうとですね、これは

法律上ではないんですが、

法律に基づく省令のレベルで、実はかつてはある規定があったんです。

それはあの、

かつてと言ってももう60年以上昔の話なんですけども、

法の施行から1954年まで

だから本当に法施行後数年間という短い期間ではあるんですが、

省令労働基準法施行規則においてですね、

使用者側が労働者に対して、お前はいつ年次有給休暇を取るんだということを聞かなきゃいけないというそういう規定があったんです。

ところがこれが、これちょっと後で言いますけども、

1954年の省令改正で消えちゃいました。

消えちゃったらどうなるかっていうと、もちろん労働基準法上は、年次有給休暇というのは労働者の権利です。

しかもその労働者が基本的にはまず一方的に時期指定権利なるものがあり、それが都合が悪ければ使用者側はそれの時期変更権

があるという、そういうなんていうか形としては労働者の権利が大変強いような形で規定がされてるんですね。

されてるんですが、現実に何が起こったかっていうと、要するにその労働者は自分から年次有給休暇とりますと言わないと、ほっとくと取らずじまいになってしまう

ことがあり、

しかもそのこれはもちろんあの状況にもよるんですが、とりわけその男性正社員ともなるとですね、そんなお前は何をそんなこの会社が大変なときにのんきに年休たことってんだ、みたいな目で見られるじゃないかと思って

取りたくても取れないし、あのあともう一つ何かちょっと病気になったときに年休をあてなきゃいけないという、そういう配慮もあってですね、結局そのなかなか取れないまま残してしまうという、

現象が非常に日本は多いですが、毎年に厚生労働省は、

この臨時休暇の取得率なるものを発表してます。

だいたい4割台なんですが、4割台っていうのはみんなが平均して4割ぐらい取ってるっていうことじゃないんですね。

実態として言うと、9割以上、ほぼ全て取ってるような人たちもそれなりにいますし、一方であのほとんど取れてないっていう人たちも結構いて、2こぶラクダみたいになっていて、

全部平均すると4割台になってるという話で。なんでそんなふうになってるかっていう話はもちろんいろんな議論があって、

日本の企業の仕事の進め方の問題だとか、チームワークなとかなんとかかんだとかいろいろあるんですが、制度的な要因として言うと、そのかつてあった使用者側が聞かなきゃいけないというのが

なくなってしまって

労働者が自分から言い出さないと

取れなくなってしまったと。

変な話なんではあるんですけど、そういうのは実は結構効いているのかなという感じがします。

この後労働基準法ができたと、1940年代末から50年代いっぱいにかけては、ここにあるように規制緩和、

ようするに労働時間規制が厳しすぎるという、使用者側の訴えと、そうはさせじというそういう間で綱引きがずっとされていた時代です。

とりわけですね、この

1949年の省令改正

とかですね。

1952年の改正のときには、これちょうどその占領が終わる頃です。占領が終わる頃にこの政令諮問委員会というのが設けられて、

これ他のいろんな分野についてもそうなんですけども、占領下で行き過ぎた改革が行われたんでそれを少し緩めようというということが

政府の各方面で行われたんですが、

その一環として、例えばこのときこの政令諮問委員会は、例えば5人以下の事業については労働基準法の労働時間規制は

適用をしないようにしようとかですね、そんな案まで実は出ていたんで、さすがにそれはひどいだろうといろいろ綱引きしてなかなかそれは実現できなかったんですが、どちらかっていうと

いわばそれに変わるいけにえみたいな形で行われたのが、先ほど年金のところで申し上げた1954年の、省令改正。

年休をお前はいつ取るんだっていうことを聞かなきゃいけないっていうのがなくなったっていうことの他にですね、３６協定には期間を定めなきゃいけないとかあるいは合わせて労働契約を添付しろとか

いろいろついてたんですけども、省令レベルでそういうのがガッソリと消えてしまったのがこの1954年の改正ってことになります。

この後もそういう綱引きがずっと続いたんですが、57年の臨時労働基準法調査会というところの答申で、とにかく法律でもって規制緩和をするっていうのはもうやめようと

いうことになりました。

そっからは、どちらかというと労働時間短縮の時代って書いたんですが、法律に基づくものではなく、いわば政府が主導の一種の社会運動みたいな感じで労働時間短縮というのを進めた時代です

これテキストにかなりいろいろと詳しく書いてありますが、ここではもうあまり詳しいことは申し上げません。法律自体はこの段階では特に動いてはいませんでした。

法律改正という形でこの時短という問題が取り上げられるようになるのは、1980年代になってからです。

ただ1980年代から90年代にかけてっていうのが、労働時間短縮というのが国政の重要課題になった

時代なんですが、それとともに、むしろその後ですね、特に80年代末からとりわけ90年代以降は労働時間の短縮というよりはむしろ弾力化

というものが、労働時間構成をめぐる

主たる主戦場になってきます。ということで、ここまでがどちらかっていうと挨拶みたいなもんで、こっからその

大きく労働時間短縮の法政策、この第2節とそれから第3節がその弾力化に関する法制化ということでお話をしていきたいというふうに思います。

その中でいうとこのどちらかというと、あの、80年代以降の話なんですけども、この80年代から90年代にかけての頃というのが、法定労働時間の短縮ということが

時短の一番大きな柱になった時代です。

その後90年代半ば以降、

21世紀に入り、そしてある意味今日に至るまで、どちらかというとむしろ労働時間の弾力化というのが政策の主たる柱になってきました。

非常に最近になって、2010年代、むしろ2010年代半ば以降になって、再び労働時間短縮、ただし今度は時間外休日労働というところに着目した実労働時間の

短縮ということが、その法政策の大きな課題という形で出てくるって、

そういう意味ではここからお話をする労働時間法政策の歴史っていうのは、大きく法定労働時間の短縮がメインテーマだった時代

その後の裁量労働制だとか、ホワイトカラーエグゼンプションだとか、高度プロフェッショナル制度だとかいったいわゆるフレキシビリティ、

柔軟化、弾力化が大きな課題であった時代、

もう20年以上ですね、の時代。

ごく最近になって、今度は時間外休日労働という上限規制という形で再び労働時間短縮というものが大きな課題になった時代というふうになります。

これ大きく節を分けてるので、話の流れから言うとですね、法定労働時間の短縮の話の後にポーンと飛んで、ごく最近の時間外の話になるみたいな感じになります。これあの、ちょっとそのテキストの書き方、

だいたいテキストを書くってのはどういうふうに並べるかというのが一番頭を悩ますところですけども、そんな形になってるので、大きな時系列的に言うと、今申し上げたような形になってるってことだけちょっと頭に入れてください。

時短の最初のところ、法定労働時間、段階的短縮の法制策ということでこれは1980年代から90年代にかけてそれなりにある程度の期間をかけて

徐々に進められた法政策ということが言えます。

ただもうすでにこれは終わっている話なので、終わってると言ってもずっと前にお話した事業みたいにもの

自体が完全に雲散霧消してなくなってしまってるというわけではなくて、要するに、この40時間に最終的に収まった状態が今日までずっと続いてるという意味なんですが、ただ、若干過去の話ではあるんで少し

ざっと見ていく形にしていきたいというふうに思います。

括弧１（週48時間制の特例の廃止）はちょっと省略しますが、この

労働時間に限らず、およそ一般的に労働法、労働政策に関する新たな政策をやろういうときには、もちろんその法律に基づいて三者構成の審議会

の審議を経なきゃならないっていうことは義務付けられてるんですが、ただいきなりその三者構成の労使が入っている審議会で1から議論を始めようと思っても

もみくちゃになってなかなか話がまともに進んでいかないっていうことが多いんで、

これ他の分野でもそうなんですけども、前段階として、学者だけ集めた研究会とか検討会といわれるものを置いてそこで一定の報告書を出して、その報告書をたたき台にして審議会で議論していくという

やり方をするのが少なくとも過去半世紀以上にわたってごく普通のやり方になってます。

これについても、まずは労働基準法研究会という労働法の学者を集めた研究会ですけども、ここで議論をし、その報告書を出すんですが実は

この段階で少しギクシャクしました。

どういう風にギクシャクしたかっていうと、最初

にですね、1984年に出した中間報告では、法定労働時間を週48から45時間、3時間だけ短縮する

そして1日は9時間、8時間から９時間。

若干増やすような形にするという、そういう案になんですね。

これはおそらく、いきなりその48から40なんていうのは、簡単にできるはずがないというふうに、遠慮した、学者が遠慮したっていうよりは要するに

労働省事務局が週40時間で非現実的だと思って、こういうふうにしたんだというふうに思いますが、ところがこれに対して、1日8時間を9時間に伸ばすのは何事かというそういう猛烈な反発が出てきました。

これを受けて、翌年

1985年の研究会の最終報告が1日は8時間に戻し、ただ週は45時間だから9×5で45という週休2日で週5日制

にしようというふうにどうも思ったのかもしれませんが、そうはならなかった。

ところが、研究会報告はそういうやや中途半端な形になったんですが、その後、

この報告書をもとに、中央労働基準審議会という、今は全部まとめて労働政策審議会になっていますけども、

昔はですね、20世紀まではそれぞれの分野ごとになる審議会が別々にわかれていました。

労働基準法の関係については、中央労働基準審議会というところで審議を続けただけになってたんですが、ここで審議をしている間に、これはあの、多分他のいろんな

特にこれちょうどですね、労働時間の問題がこの時期進められている頃っていうのはちょうど、その少し前の393ページのテキストのところに書いてありますけども、

ちょうど、中曽根政権のもとで、何ていうか国際協調のために、そのいろいろその日本のあり方を変えようという議論が結構されてた時代です。

ちょうどこの1996年から1997年にかけての頃には

あの前川レポートっていうのが2回出されてまして、その中で要は、基本的な目標はその日本が貿易黒字ばっかり溜めちゃって、逆に言うと向こうの欧米諸国が

貿易赤字がたまっちゃってる何とかしろと言われて、どうしたら何とかできるんだろうと、内需拡大するのがいいだろうと。

内需拡大するにはどうしたらいいんだと、日本人が

長時間労働で働き続けるから黒字になるんで、もっと労働時間を短縮して、今度どんどんあの、

お金を使うようにお金を使うというのは、当時確かですねフランスの

クレソンさんという女性の首相がいて、彼女が

それどこまで本当かどうかよくわからないんですけども、日本はウサギ小屋のウサギだみたいなことを言ったという話もあって、そういう

世の中の全体の流れの中で、いわば

それまでは労働時間っていうのは、

あのそれこそ労働行政だけやってるような話で、官邸がしゃしゃり出るような話ではないと思われていたのが、ちょっとこの1986年から7年にかけての時期というのは、たまたま

中曽根政権のもとで官邸が内部拡大という観点から労働時間短縮というテーマに飛びついた時代

だったということが非常に大きいんだろうと思います。

そういう中で、この労働基準法研究会報告ではみみっちい週48時間45時間にするっていうだけの提案だったものがですね、

この審議会で議論してる間に、

別に審議会の議論でこうなったというよりは、むしろ世の中の流れの中でそういうふうに議論が進んできたっていうふうに言った方がより自然なんだろうと思うんですが、結果的に

中期的には、法定労働時間を週40時間まで短縮をする。

ただし、すぐにはそう簡単にいかないので、とりあえずはまず46時間に短縮。

そっからの徐々に少しずつ削っていて、最終的には40時間まで持っていくんだというそういう

なんていうかその

目標は高いけどもかなり先延ばしするような、そういう考え方でこの中央基準労働基準審議会の建議が成立をするっていうことになりました。

いつっていうのが入ってるわけじゃないんですよね。

入ってるわけじゃないけども、しかし、法律の本則、法律の労働基準法32条の使用者は1日8時間週48時間を超えて働かせならないっていうその数字は40時間にしますよと。

ただし補足で、少し刻みながら徐々に短縮していきますよという、そういう形にしましょうということになりました。

これが実現したのが1987年の労働基準法改正です。

しかもこれはですね単純に、今の説明からするとですね、なんかこの87年改正、まあ施行は88年からなんですが、

それによって一斉にみんな46時間になったかのように見えるかもしれませんが、それはさにあらずで、

このときはね、ちょっとテキストは書いていませんけども、

業種と、それから企業規模、従業員、従業員何人という企業規模でもってマトリックスを作って、特定の業種の大企業については46時間ですけども、

そうでないところについてはまだ48時間のままよっていう、そういう形でいわばそろりと、

始まったという形になります。

それが少しずつ進んでいくんですが、次の1990年、これは政令改正ですけども、

これによって、戦闘部隊は、

44時間になります。

後続部隊は46時間、後続部隊といってもその先に行く後続部隊は46だけども、さらに後ろに残っている王族が48

形になります。

次の1993年改正では、他にもいろいろ、いくつかあとの方に出てくる

裁量労働制

を始めとしていくつかの改正がされている法改正なんですけども、これにより、戦闘部隊は40時間になります。

ただ次の後続部隊、46時間、後に４8時間というふうに実にいろんなのが並んで行った時です。

こういった形で、何かぞろぞろぞろぞろとキャラバンがその続くみたいな形で、中にどんどんどんどん進んでいって、最終的に1997年、

４月から

それが全て週40時間制に完全に移行したっていう形なんです。

中でも、これ20年以上基本的に全ての

業種と、ちょっと一部例外ありますけども、原則として全ての業種と

企業規模において、週法定労働時間は40時間というふうになってます。

ただそうは言いながら、そこには大きな

落とし穴っていうか大きな問題があるんですが、この話はちょっとこの後の時間外のところでいいです。

で、次の労働時間設定改善法というのはこれは何かっていうことですね、

かつては時短促進法っていうふうに呼んでたんですけども、

労働基準法がまさにその名の通り、直接その労働時間についての基準を定めて、それに違反した者

については、

行政上の処分し、さらにいうことを聞かなかったら司法上の処分もあるよというそういう法律があるのに対して、

こちら側のまさに行政上の一種の誘導をしていこうという、そういう法律です。

あのかつてはこの促進法に基づいて、時短助成金みたいなものを置いてですね、いろいろやってたこともありますが、21世紀になってから名前が労働時間設定改善法というふうに名前が変わっています。

これについてはちょっと今の時点で非常に重要なのは、後の方で出てくる、いわゆるインターバル規制、休息時間というものを、努力義務ではあるんですけども

もうこの法律上に規定してるっていうところは、この法律の重要なところなんですが、その話も働き方改革の中で出てきた話なんで、ちょっとこちらの方で話をします。

時間外休日労働ですが、これが結構いろんな話がありますが、過去からいろんな経緯はあるんですが、非常に長い間、先ほど

労働基準法ができるときに申し上げたように、

日本では少なくとも女子年少者を除けば、成人男性について言えば、時間外休日労働に上限はなかったんですね。

しかも、これはこの後の方で出てきますが、1985年の男女雇用機会均等法ができ、それが1997年改正されますが、この1997年の改正男女雇用機会均等法に伴う労働基準法の改正により、

それまで存在していた女子に対する時間外休日労働規制や深夜業規制っていうものが原則的に、これは経緯は今日の後の最後の方のワークライフワークでも話をしますが、

なくなったいうことになります。なので、基本的にもう21世紀の日本においてはずっと長いこと

成人男子であれ、成人女子であれ労働時間の

物理的な実労働時間の規制というのはないという状態になっていました。

でその上限がない、少なくとも法律上は上限がないという状態を前提とした上で、しかし、どんどんいわばその労働行政が、

監督ではなく、いわば誘導的な行政指導として時間外労働の削減・適正化ということを行って

なってきたのがテキストでいうと401ページ以降になりますけども、1980年代以降のいろんな動きです。

時間外労働協定の適正化指針というのも、何か名前から見るとなんか大層なように見えますが、ただこれも別に法律上の根拠があるわけでもなく、

労働基準監督署が各企業に対して、こういう適正化指針に基づいて、三六協定、時間外休日労働協定を締結する場合には、ここに書いてある

この数を超えないようにしてくださいねというふうに、基本的にお願いですね、お話をするという、そういう基準に過ぎませんでした。

これは基本的にはずっと変わりはなかったんですね。

括弧2の所定外労働削減要綱っていうのは、単にこういうふうにした方がいいですよっていうことを言ってるだけの話です。

93年の改正っていうのは中身がある、あの先ほど言った完全にその検討部会が週40時間になった改正なんですけども、このときに合わせて

基本的に時間外休日労働についてはずっと一律で25％の割増率っていうのは定まってたんですが、この93年の改正で、休日労働についてのみ

35％に引き上げるということにしました。

ちなみに逆に言うとですね、時間外休日労働というものに対する規制としてこの間ずっとですね、これあのその後の方までずっとそうなんですが、

要するに時間そのものを規制しようという発想っていうのは基本的になくて、基本的にはこの割増率を引き上げることで、いわば間接的に時間外休日労働を無くそうというそういう方向の

法改正のみが考えられていたんですね。

ただ、実はあの割り増し率を引き上げるっていうのは本当にその時間外を減らす方向に働くのかっていうと、それはもう実は多分両面あって、

使用者側から見ると、割増率が上がると残業のコストがかかるから、残業はさせたくないと思うかもしれないけども、実は逆に言うと労働者側から見ると、割り増し率がなまじ引き上げられると、

もっと時間外休日労働をした方が、儲かるからいいやっていうふうな、発想にもなりかねないので、そういう考え方でもってこの当時はずっと議論が進められていたということです。

で、あの、実はこの講義というものが、中央大学のビジネススクールで始めたのはまだほんの数年間ぐらいなんですけども、一番最初にあの労働法政策という関連からのこういう講義始めたのは、

最初東大の公共政策大学院で2004年だったんですが、そのときに

私が言ってたのは、日本の労働時間規制の最大の特徴は時間外休日労働に上限規制がないという点なんだというふうに強調していた。

これはあの、全く誰も何も気がつかずに、そこに問題があると思わないからこうなっていたというわけでは必ずしもありません。実は問題意識はあったんです。

あったというか、そのもっと前にはありました。

先ほど申し上げた1987年の労働基準法改正、週労働時間を48から40時間にしたという、その改正の前にあった先ほど見た

1985年の労働基準法研究会報告はですね、実はこの法定労働時間の短縮ということだけではなく、時間外休日労働についても一定のコメントを

していたんです。

どういうことを書いていたかってていう部分ですけども、これはテキストの404ページ目の下の方に引用してありますけども、

ここで時間外休日労働の上限設定を考えるべきだとの意見があるが、我が国の労働慣行の実情に合うような上限設定が可能かどうか定かでない面もあり、慎重な検討が必要である。

ということで、要は我が国

の労働慣行とこの時間外休日労働のあの物理的規制ってのは矛盾するんじゃないかっていう、そういう考え方があったということですね

これはどうなのかっていうと、

まさにこの日本の雇用慣行というのはその一旦その雇った人はちょっと何かあってもできるだけ解雇せずにずっとその雇用を維持するっていうことが一番大事だという、これあの、

何回も話をしている1970年代後半から、80年代、90年代初めにかけての頃の、日本の労働政策の一番のなんていうか柱になるような哲学的な基軸であったわけです。

だとすると、時間外休日労働の上限規制なんかしてしまうとですね、この平常

状態である程度のその時間外休日労働をやってるがゆえに、いざというときに、非常に景気が悪くなって労働需要が減ったときに、その時間外休日労働をもっと減らすことで雇用を維持できる。

ところがその時間外休日労働を下手に平常状態で減らして

しまったりしたら、いざというときに削り節が、削るのりしろがなくなってしまうんじゃないかと

そしたらいやおうなしに解雇せざるを得なくなると

これは日本にとって日本の労働政策にとって一番重要な雇用域という目標に反することになる。

表面の目先の休日労働を減らすなんていうことのために、日本にとって一番重要な、雇用維持というものを揺るがすようなことをするわけにいかん

というのが基本的にこのときの1985年段階の考え方だったんですね。これはじゃあその後どうなっていくかっていうと90年代にも、

何回か労働基準法研究会が設けられ、その報告書でそういうことを言ってるんですが、やがてそういう話はされなくなります。

ここはなかなかちょっと変な話で、

今までの労働市場政策の話を聞かれた方はおわかりのように、あの90年代半ばぐらいからですね、少なくともこの過去の労働市場政策における、政策の基軸というものは、

雇用維持が全てに優先するんだっていうものから、いやいやむしろこの労働移動の促進するんだとそういうその考え方にかなりシフトしてきているわけです。

特に2１世紀になってからはかなりそういう考え方が強くなってきているにもかかわらず、もし本当にそのかつての議論の枠組みが生きてるんであれば、

かつてその時間外労働の上限規制をしない理由であった雇用維持、何が何でも雇用維持っていうのがだんだん薄れてきたんだから、

かつてはじゃあ雇用維持と矛盾するから、やめとこうねっていうふうにつり下げといた時間外休日労働の上限っていうのを持ち出してもよさそうな気はするんですが、こういうふうにはならなかったんですね。

むしろ90年代半ばから

ずっとですね、だけど先ほどちらっと申し上げたように今日のこの後の方でお話をしますが、裁量労働制とか弾力化がもっぱら議論になり、

もちろん弾力化は弾力化なんですけど、一方でその雇用維持によって差し止められていた上限規制はどうすんのって話はもう誰も議論しなくなってしまうという、そういう状況になってしまっていました。

これが

2１世紀になってしばらくの雇用の状況です。

その状況、こういう状況下で行われたのが2008年の改正です。

2 008年の労働基準法の改正なんですが、

実はこのときに一番議論になったのは、結果的に実現しなかったんですけども今日の後の方でてくるいわゆるホワイトカラーエグゼンプションっていうものでした。

ホワイトカラーエグゼンプションをめぐる議論がこの2006年から2007年にかけての頃の

最大の論点だったんですが、実はこれは結局批判が強くて引っ込めちゃったんで行われていません。結果的に残ったのは、2008年改正として行われたのは何かと

言うと、時間外労働に対する一定の規制なんですが、しかしそれは時間外

労働に上限をはめようというようなものではなくて、どういうものかっていうと、

時間外労働のうち月60時間を超える部分についての割増率を25％から50％に引き上げるという、こういうものがこの2008年改正で導入されてます。

訳あってちょっとこれ、非常に複雑怪奇なんですよ。休日労働の割増率は35％だけど1993年の改正で、休日労働は35％になっています。

時間外は25％。

その時間外のうち、

ここで時間外と休日は別なの。

休日は35％。

時間外は1日何時間もだんだんたまっていって、それが月60時間を超えるとそこから50％になるというはっきり言って複雑怪奇です。

とにかくいろんな企業はこれを計算するためにソフトを変えてやってんだと思うんですが、とにかくこの時間外労働・休日労働そのものを規制するという発想がすっぽり抜けたまま、

何かとにかくしなきゃいけない、時間外休日労働を規制するのか、規制するんだって言ってるけど

その規制のあるものは実は割増率をどうやって引き上げるかっていう話でしかないというその状況を如実に表していたのが、この2008年改正であったというふうに言えると思うんです。

私から言わせると、なんでそんなにおかしなねじれた方向にばっかり話がいってたんだっていうふうな感じがするんですが、結果的に

2008年改正はそういう形で成立をしました。

その後ですね、働き方改革の改正にある意味直接的に繋がる

労働時間の量的な上限規制というものがその後提起されます。

いつ提起されたかっていうと、これはある意味皮肉なんですけども、民主党政権のときではなくて民主党政権が終わった後、第二次安倍内閣が成立した2013年に、

規制改革会議というのを再び設置をされますので、その規制改革会議という名前からすると、そのまさに規制緩和ばっかりやろうとしてるかに見える。

ところが、初めてこの労働時間の量的上限規制というのを締結しました。

正確に言うとそれだけ言ったわけじゃなくて、三位一体改革と称してですね、

労働時間の量的上限制限と、それからこの少し前の段階で第一次安倍内閣ときに失敗していたホワイトカラーエグゼンプションをリベンジして出し直しという話と、

それからもう一つこの後ちょっと出てくる年休の強制的な取得というこの三つを組にして、やっていこうという、そういう考え方を提起したのが、実は話としては出発点になります。

ただ実はこの段階では、それは直ちに法改正案には入りませんでした。

2013年から14年にかけて、規制改革会議と、それからもう一つ、今の成長戦略会議の名前になってますけども、この当時は

産業競争力会議という名前で、主として経済産業省から官邸に行っている人たちが牛耳ってたあのそういう会議なんですね。

こちらの方がえらい、何が何で偉いかっていうと、トップが安倍首相だから

っていうこともあるんだろうと思いますが、こちらの方がより偉い雰囲気になってきて、こちらの方の産業競争力会議の答申に基づいて作られたあの日本再興戦略

というものがどちらかというと日本の政府の主たる企画書。規制改革会議の答申に基づく規制改革計画というのはどちらかというとサブみたいな、そんな感じになってですね。

産業競争力会議の方は、量的上限規制っていうのは基本的に入っていなくて、もっぱらその高度プロフェッショナルってことになるんですが、そのいわゆるエグゼンプション、労働時間の弾力化が、

中心のものでした。ということで、これを受けた形で出された15年度労働基準法の改正案というのも量的上限規制そのものは入っていなくて、

ただ、後の方で出てきますけども、その高度プロフェッショナル制度という、エグゼンプションのリベンジみたいな制度の中に一定のその上限規定というのが入るという、非常にある意味ミクロな。

一般的な量的上限規制を導入しようというものではなかったですね。

これが2015年という段階で、国会に

出された改正案なんですが、これに対しては反発が強くて国会でほとんど審議されないまま塩漬けという状況になっています。

で、ここでようやくなんていうか野党が、今の野党でもありますけども当時は民主党民進党って言ってましたが、長時間労働規制法案というのを国会に出します。

自分たちが与党というか政権にいた間はやらなかったんですけども、野党になってから、この2015年の改正案では駄目だというそれに対する対案という形で、初めて長時間労働に対する規制、法案労働基準法の改正

の中身というものを打ち出すことになります。

これで初めて野党の法案として物理的な上限規制とか、あるいはこの後のお話をする間のいわゆる勤務間インターバルみたいなものが

入った法案というのが、国会に出される。野党法案なんで成立はしませんけども、ということに初めてなりました。

で、それがここまででここまでも大分長くかかりましたけども

これまでのどちらかというと規制緩和により重点が置かれていた法政策というものが、かなりガラリと転換してむしろその働き方改革という名のもとに、時間外労働の規制であるとか、

あるいは次回お話をする非正規労働者の同一労働同一賃金ということを、安倍政権が政府の柱として打ち出すようになる大展開というのが起こっていくのは、その後の2016年から

いうことであります。

2016年ですからもう四、五年ぐらいたったわけではあるんですけども、しかし本当にあの、この戦後70年以上の長い労働時間をめぐる時代の流れの中でいうと、

本当にごく最近の話の話に過ぎません。

で、これもですね実は

安倍政権っていうか当時の安倍政権官邸の考え方は、次回お話をする同一労働賃金の方に先に、どうも前のめりになっていて、

時間外労働規制についてはもう少し、なんていうかその慎重な姿勢を当初は示していた感じです。

この官邸の働き方改革実現会議っていうのが置かれて、ここでいろいろ議論をしていくんですけど、この議事録を見ても本格的にこの時間外休日労働の上限規制に踏み出す

ていうのはむしろ2016年の年末から2017年の初めにかけて

の時期になります。

...

ここはいろんな経緯がいろいろあったんでしょうし、あともう一つ、世の中的に大きな影響を与えたのは、私が見ると、おそらくあの電通事件、電通はだいたいあの

2回ほど新入社員が過労自殺するという事件を起こしてまして、過労自殺っていうかかなりハラスメントかわからんですけども、

新入女性社員が過労自殺した

いうことで、これがちょうどそのこの官邸の働き方改革実現会議でこの問題が議論されてるときのところに当たったことがかなり影響してるという説もあります。

いろいろ議論があり、途中話がドタバタと展開したこともあるんですが、その話はテキストに書いてあるんですが、

最終的に、

2017年の3月の働き方改革実行計画で、翌年の2018年改正に盛り込まれる時間外休日労働の上限規定というのが、ほぼ細かく

書き込まれるっていう形になりました。

この中身というのが正に、前回、労災補償と、それから安全性のところで、この話が労働時間のところに収まっていくんだよっていう形でお話をしていた

あの数字です。

要するに、もう今から20年前の労災保険に関する認定基準の中で、時間外労働が月45時間を超えると、

認定の可能性が出てきますよと。

直近の1ヶ月間で100時間、あるいはその直近の2ヶ月から6ヶ月間で平均して月80時間を超えると、労災認定される可能性が非常に強まりますよっていう、そういう具体的な

労働時間の数字が労災認定基準の中に盛り込まれ、その数字が紆余曲折を経て、この2018年改正で労働基準法の中に数字として書き込まれるということになった。

なので、この2018年改正の時間外休日労働の規制っていうのは、いわばあのそれ以上働かせると、倒れたら労災になるよというそういう基準ってことになります。

これも一種のワークライフバランスなんですけども、この場合のライフっていうのは、生活のライフではなくて、生命のライフということになろうかと思います。

そういう形でこの初めて戦後初めて、まあ女性は初めあってその後なくなったんですけども、成人男子について言うと、戦後初めて時間外休日労働についての上限規制というのが盛り込まれたのが、この2018年改正ということになります。

ということで一旦収まった、収まったといいますがこれが働き方改革の非常に重要な中身なんですが、実はこのさっき言った改革実現会議の最後の段階で、

実はこの議定会議には、それまでの官邸のいろんな会議体っていうのはですね、

労働側の代表ってのは入らない形で話が進んでたんですが、あのここで初めて連合の神津、今も会長ですが、

神津里季生会長が、連合の1人ではあるんですけども、入っていて、彼がこの最後の段階でかなりなんていうかいろいろ文句をつけたそうですね。

その文句をつけて、一旦外に出して、連合党経団連の間で2者間でちょっと議論し、そこで決めたものが、

働き方改革実行計画に書き込まれるという形になったんですが、

その、その時に持ち込まれたものの中に、

その後の法制度法政策に影響を与えるものが二つ入っていました。１つは勤務間インターバル規制ってものです。もう一つは実はハラスメントの話で、これ実はこの講義のだいぶ後の方で

出てきますので、

2019年の改正でこのハラスメントの話が出て来るので、これはその時ちょっとかなり詳しくお話をしますが、

勤務間インターバルっていうのは何かっていうと、労働時間規制のいわば裏側みたいなもんです。

労働時間規制ってのは、1日なり週なりという形で働いてる時間の

上限を規制しようというふうになるわけですが、インターバル規制というのはその裏返しで、

仕事をしていない時間というもののいわば

下限を設定しようと。

これ元になった考え方はEUの労働時間指令にあって、EUの労働時間指令では基本的に1日11時間の休息時間時間を置かなきゃいけない。

1日11時間のインターバルってことは1日24時間ですから、逆に言うと1日13時間まで労働時間が延びることはありうるけども、それを超えてずるずると伸びることはできませんよと。

あるいは、より正確に言うと、仮に1日ずるずると伸びたりしたらその後必ず間に、翌日の仕事を始めるまでに11時間の時間を置かなきゃいけませんよってことで。

だから例えばある日夜中の12時まで仕事しました、

それはあるかもしれないけども、ある日、その日に夜中の12時まで働いたんだったら翌朝8時や9時に出勤しちゃいけません。必ず間に11時間のインターバルがあるんで、どんなに

早くても翌日11時位以降の出勤でなきゃいけませんよ、というのがこのインターバル規制ってものなんですね。これはおそらく

そのなかなかその労働時間規制といっても、そのそんなに厳格な形のものは多分できないだろうっていうこともあってですね、逆に裏から規制しようという考え方が入ってきたんだろうというふうに思います。

何か他人事みたいってますが、ずっとこの2 0 0年代から10年代にかけての頃に、このEUにはインターバル規制っていうのがあるぞということをいろんなとこで書いたり喋ったりして宣伝してまわってた1人が実は私でもあるんですが、

これがいろいろ紆余曲折があって野党の長時間労働の規制法案に入ったりし、その後連合と働き方改革実現会議内の最後の段階で連合と経団連でお話をして戻ってきたときに、

これが入ってる。ただしそれはあくまで努力義務という形なんで、これはこの働き方改革の中で2018年に、この先ほどちらっと見たこれですね（２　労働時間設定改善法のスライドへ戻る）

労働時間設定改善法の中に、この勤務間インターバル規制についての努力義務というものが規定されるという形で盛り込まれたということになります。

なんか労働時間ですごく時間たっぷりなんですが、この後やっぱり弾力化のところもたっぷり話をしなきゃいけないので、この辺はちょっと少しお話をスイスイっとやっていきたいと思うんですが、

とは言ってもこれも結構実は重要な話で、労働時間の適正な把握というのも、過去20年間ぐらいかなり大きな問題として取り上げられてきたんですが、これも初めはですねもっぱらサービス残業問題

とのからみで議論されていました。

要するにサービス残業はけしからぬ、だから時間外休日労働をさせたんだったらちゃんとその労働時間を適正に把握しなさいという、

なんのために適正に把握するかっていうと、それはあくまでもそのサービス残業がいけないんだと、

ちゃんと時間外休日労働の割増賃金をちゃんと払いなさいという、こういう考え方

からの、この労働時間の適正把握基準というものが、2000年ぐらいからの考え方だったんですね。

これあの厚生労働省が

こういったものを通達で出して結構やってたんですが、それがこの

この括弧3の労働時間把握適正把握ガイドライン

(スライド５　労働時間の適正な把握)。

これ2017年に作られたあくまでガイドラインですから、ここの辺になって徐々に何て言うか重点の置き所が、その賃金問題、サービス残業代の問題から、

その物理的な長時間労働そのもの、あるいは健康確保のために安全管理のために

長時間労働から長時間労働になってなってないように労働時間を把握しなさいというこういう考え方にシフトをしてきています。

これが法律上に盛り込まれたのが、働き方改革の推進法で束ねられた中で労働安全衛生法が改正をされていまして、労働安全法の中に

66条の8の3っていう二重の枝葉みたいにすごい条項なんですけども、これによってその労働時間の適正把握義務というものが、法律上に規定をされました。

これは労働基準法の労働時間のところではなく、労働安全衛生法にこの労働時間の適正把握義務が規定をされてるってどういうことかっていうと、

これはあの、要は、残業代を払わせるための把握義務ではなくて、労働者の健康を害さないように、過度な長時間労働にならないように

使用者は労働時間を適正に把握しなきゃいけないというという考え方で規定されたものになります。これは世の中的にどこまで認識されてるかどうかちょっと、

いささか怪しいところがあるんですけども、考え方がそういうふうに

ここ数年間ぐらいで大分シフトしてきてるっていうのは重要なポイントだろうというふうに思います。

深夜業の話は

テキストに書いてある通りで、あの

現代日本では深夜業規制っていうのは基本的にないんです。

年少者はありますけども、かつて女子についてあった深夜業っていうのは今規制はなくなってますし、あるのは深夜割増だけですね。

深夜割増って割り増し払えばいいっていうだけの話ですから、別に深夜量そのものを規制をしてるわけではないです。これについてもいろんな議論は過去あったんですが、現在のところは特段議論になっていないですね。

それからこの辺はもうざっと飛ばします。

自動車運転者についてはいままで

いろんな通達とかなんとか告示という形で規定をされてたんですが、これはもうテキストに委ねます。それから医師の話、医師とそれから学校の先生の話ってのは

やっぱりちょっと結構面白いのでちょっと省略せずにちょっとお話しますが、もともと医師については、

法律上、何らかの特例措置なんていうのはどこにもなかったんです。

なかったんですが、働き方改革で、

それまでなかった上限規制が入ってくるということになって、急遽その何ていうか医師の医療方面からそれは大変だと大変なことになると、今の医師の働き方からしたららそんなもの守れるわけないじゃないかっていう

声がワーッと出てきてですね、

これだけは非常に変な話なんですが、あの頃そのいかなる業種であれ、労働者である限り、労働者の労働時間、時間規制を

議論して定めるのは、あくまでもその業所管官庁じゃなくて厚生労働省、労働基準局であり、やはりそこに置かれたあの研究会とか審議会で議論をするはずなんですが、

医師に対すると、なぜか同じ厚生労働省医政局に、医師の働き方改革に関する検討会なるものが置かれて、そちらで要するに医療に変な悪影響が出ないような

働き方改革をしなきゃいけないっていう、そういう話になって議論が進んできています。

基本的には働き方改革推進法で5年間猶予されてるんですが、医師とか、あと

今言った建設業とそれから自動車運転手となるのは5年間猶予されてるんですが、この医師について言うと、その1政局の検討会で議論するっていうことになり、その結果ですね、これがなかなか

凄まじいんですが、ここが

一昨年2019年に報告書を取りまとめてるんですが、その

普通の労働者であれば、極めて例外的な基準である年間720時間を超える年間960時間というのが、普通の医師の上限規制であり

しかし、それですらそんなことをうかつにやったら特に地域医療が崩壊してしまうっていうことで、

そういったその医師があんまりいないような地域医療のところと、あとその研修医というこの二つの類型についていうとなんと年間1,860時間という上限設定になってます。

年間1800時間、これは時間外休日労働がってことですよ。つまり、本来の所定労働時間があってそれにプラス追加するものが年間で1,860時間が上限ですよって話なので、

何をやってるのみたいな話なんですけども、逆に言うと医師の労働時間、医師が

数少ない、今もコロナで大変なことになってますけども、要するに患者が来たら相手しなきゃいけないんだから労働時間を超えてるからできませんとは言えません、というそういう話でもってですね、なってますね。

その医療法の改正案が今、この今国会にかかっていますという話です。

それから公立学校の先生はですね、これちょっと話が複雑なのは、ちょっと前回の話のところでちらっとお話をしたように、労働基準法っていうのは、本来はもともとできたときは、公務員は適用除外ではありませんでした。

ところが、この講義の一番最後の方でお話をするマッカーサー書簡で公務員の労働組合があの暴れすぎたんで、マッカーサーが怒って貴様らから労働基本権を奪ってやる、って

奪われたこれはまあ自業自得なんですね。

なんですが、

そのときについでに労働基準法まで適用さえしないという訳のわからない話になってしまった。

国家公務員は、だから未だに労働基準法は全面適用除外。

問題は地方公務員です。地方公務員について、地方公務員法を作るときには少しあの気持ちが落ち着いたんだと思うんですけど、

全面適用除外ではなくて、原則適用である。ただし、いくつかの規定は適用をしないというそういう形になりました。

原則は適用されてるんです。

実は地方公務員はこれは非常に多くの人が理解してないんですけども、地方公務員は実は労働基準法は原則適用されてます。

ただし、労働基準監督から監督をしません。どこが監督するかっていうと、人事委員会だと、人事委員会がないところは、その自治体の長が監督する、

民間企業では社長が監督しますから大丈夫と言ってるような訳のわからない話なんですけども、だけど一応建前上は労働基準法が適用されてるんですよ。

されてるんですが、が、ここからがなかなか複雑で。

なので実は公立学校の先生も、労働基準法は原則適用されています。

されてるんですが、これとは言いながら、やっぱりあの公務員の世界ってのは自分らが関係ないと思いがちなんですね。

なんで、ずっと残業代なんて払わなくていいよっていうふうにやってきてたんです。それに対して日教組は、

けしからんと言って法廷闘争をずっとやったんです。

60年代で最終的に最高裁まで行って、おかしいと払えという話になりました。

払えっていう話になって政府はどうしたかって言うと、しょうがないんで給特法という法律を作って4％だけ払うからと。

実は36条は適用除外なんですね。３６協定は、これあの、実は他の公務員についてもそうで、地方公務員もそうで

公務員というのは、要するにそんな労働者とのその労使協定でもって物事を決めるなんてのはけしからんという発想なのでそこは適用除外をされてます。

何でやってるかっていうと、33条のいわば緊急事態のときにその時間外をやらせるっていうのをもってやってるんですが、

問題が37条の方でこちらは適用があったんですが、この給特法という法律を1971年という段階で作ってこれで適用を除外して、

で4％の教職調整額っていうのは支給するからっていうふうになったんですね。

なったんですが、

その時は4％ぐらい払えれば良かったのかもしれないんですが、

その後学校の先生方がですね、どんどんどんどんやたらめったら実際に働いてる時間、これ文部科学省ではこれは勤務時間ではないってことになってるんですが、

なんていうかな要するにこれ非常に変なんですけども、給特法上超勤4項目ってのがあって、生徒の実習とか学校行事とか職員会議とか非常災害等といったものについてはその対象になっていてね。

ところが、その部活の指導だ、何とかっていうのは、それはそうじゃないんだと。それは一体何なんだと、いやあれは自発的にやってんだというふうな話になるんですよ。

自発的にやってる、なんていうのは実態と真にかけ離れてるんですが、それをずっとやってきて、

ずっとやってきた感じですが、そこに働き方改革というのがやってきてですね、さすがにこれはまずいだろうということで、とは言いながら、

今まで言ってきたことの整合性もあるんで、非常にその、私の目から見ると、大変ねじれた議論をしてるんですけども、

一応自発的勤務だということになっているものも含めた、何ていうかこの在校時間の上限を、そのガイドラインで、

あの定めて、ただしこれは法律上のものではない技術上の行政上のものなんですが、ガイドラインを定める。一方で、一昨年給特法を改正して、そのガイドラインの根拠規定を置くとともに、

なぜかここに1年単位の変形労働時間制なるものを持ってきて、君らはその夏休みとか冬休みとかあって、その間に休みを取ったその分を、こちらの方に今度持ってきて、

1年で流せばいいじゃないか、みたいなことをあの、何か非常にその、もうやり方としてそのなんかぐちゃぐちゃっとした感じではあるんですけども、そういう形での対応をしようとしてます。

これも何か非常にねじれた話になってます。

それから年次有給休暇の話も、これもねじれた話がいっぱいありますが、私の目から見て一番大きいのはですね、そもそもその、これあの今から70年前に

労働基準法ができたときに、その年次有給休暇については、

これは労働基準法を作ったときの担当課長の名前に出された本の中で書かれてるんですが、本来、年次有給休暇っていうのはまとめて取るものであると。

1日単位で取るっていうのは、その本来の趣旨に反するんだけれども、しかしあえて労働基準法では、1日単位で取れるようにしたと書いてある。

なぜかっていうと、これは

テキストでいうとですね、

非常に面白い文章なので、

引用してあるんですが、

386ページから387ページにかけてのところに書いてありますが、

ILO条約では…(p386~387を読む)

ここからが面白い。我が国の現状では…と書いてある。

生活物資獲得のためってなんのこっちゃって話ですが、これあの、よくあの昔のテレビ映画なんかで、電車に乗って買い出しに、終戦直後であの焼け野原で食べるものがないので、

田舎に買い出しに行ってる映像がよくありますけど、あれなんですね。

なんかそんなその、終戦直後の異常な状況を前提として、本来の趣旨と反する1日単位の

取得を認めるようにしたと、法律を作った担当者は言ってるんですが、その後、

先ほど申し上げた、使用者の方から聞くという規定がなくなったこともあり、ポチリポチリと、もちろんガバッと取る人もいないわけじゃないんですが、基本的にポチリポチリと1日単位で少しずつ取るのが当たり前みたいな状況が長く続いていました。

それは本当はおかしいんだよと、いうふうに言うのが本当は労働法とかなんとかの専門家の仕事じゃないかと思うんですが、全く逆の方向に突っ走ってしまいまして。

2008年の改正、これはあの、ホワイトカラーエグゼンプションやろうとして失敗した改正であり、そして先ほど申し上げた時間外労働について月60時間を超えたら25％から50％になる。

休日になったらまた35％になるんですが、そういうあの、何かわけのわからない改正をしたこの2008年の労働基準法改正において、年次有給休暇については、1日単位を

さらに超えてですね、1時間単位で年休を取れるという制度が入ってる、これ今でもあります。

だから今でも時間単位年休っていうのは結構あるんですよね。

あの結構、もしかしたら結構取ってる人もいるかもしれませんが、

あの時間単位年休っていうものほど、本来の趣旨からいったら訳のわからない、本当はないはずなんです。

つまり、もともとのILO条約では1日単位も駄目なんですよ。

まとめて取らなきゃいけないんです。

つまり年次なので、1年の中でここはまとまって休みを取りますよってのが年休なんです。

1日単位で取ったらそれはもう年休じゃない、のがILOの条約の発想の筈なんですが、ところが日本は、

戦後の焼け野原だっていうこともあって、1日単位を認めることにしました。

それから半世紀以上経って、あろうことか、時間単位で年休を取ります。

この時間単位で年休と言った途端に、あの通じません、外国には。

何それ、と。

だからそれを時間単位で、取ってるのが年休だっていうのは一体何のことだか訳わかんない話なんですけども、そんなものになってしまったんですね。

それがようやく2018年の働き方改革の段階で、

これは先ほど申し上げた、この使用者の方から聞かなきゃいけないっていうものをある意味復活したようなところで、年5日分については使用者の方が時期指定しなきゃいけないという形で、もうこの2年ぐらいはそういうふうになってるんで、

人によっては年度の終わりぐらいに、今、とにかく取らなきゃ違法だから必ず取れ、とか言うのが来てるのを経験してる人もいるかもしれません。

ということで何か時短の話でえらい長引いてしまいましたが、こっからさらに、これと同じぐらいの、結構重要性のある、過去20年間にわたって議論されてきた労働時間弾力化の法政策の話をします。

これも結構、

重要なんですが、変形性とかフレックスの話はもう省略します。

あの変形性ってのは要は、時間の長さそのものについての弾力性ではなくて、その時間の場所がですね、要するに暇なときと暇でないときで、伸びたり縮んだりするっていう話なんで、

フレックスもそれを労働者の方でできるって話なんで、ここでは省略します。

で、次のこの事業場外労働とテレワークの話っていうのが、割とここにきてコロナでテレワークが急激に増えたんで、ちょっと大きな話になってきてるので、ちょっとここで少し時間をとって説明をしておきたいと思うんですが、

実は今もうほとんどテレワーク、在宅勤務で、事業所外勤務のみなし制にしているところって、実態として言うと非常に少ないと思います。

ただ元々はですね、結構このみなし制、事業場外労働というのが、この在宅勤務の関係で注目されていました。

この事業場外勤務って何かっていうと、元々は、法律に入ったのは1987年の改正なんですが、それまでは省令、労働基準法施行規則でおかれていたんです。省令ではっきり置くのはけしからんと言ったはずなんですけども、しかしこういうのも残されるんですよね。

もともと出張とか取材とかを想定してたみたいなんですが、一番多く使われてたのはいわゆる営業マンですね。

昔はですね、要するにスマホもなければ携帯電話もない時代ってのはどうやってたかっていうと

基本的にはもう営業に出ちゃうと、どこで何してるかわかんない、遊んでるかもしれないしっていうことで、要するに営業で何件注文取ってきた、みたいなことでやってたわけですね。

そういうのをずっとやってたんですが、1987年に、事業場外労働、みなし制っていうのが、法律上に規定されたときに出された通達がありまして、

その通達がポケベル通達っていうんですけども、要するに無線やポケットベルで随時使用者の指示を受けながら労働してる場合には、みなし制は適用できませんよっていうふうな通達が出されていて、これは実は今でもできてます。

ポケベルって何者っていう。今の若い人にポケベルって言ったら、は？ポケモンの1種か？って言われるんですが、いやいやあの今はスマホだけど、かつてはガラケーっていうのがあって未だにあの少しあの生き残っていますが、そのガラケーができるもっと前にポケベルなんてものがあって、

何かっていうと、外を色々歩き回っているとポケットからピピピピッと音がして、それで通信できるわけじゃなくて、ピピピピッと鳴ったら、近くの、昔はいっぱいあっちゃこっちゃにテレフォンブースってのがいっぱいあって、

そこに行って、あの、ピピッとなったらそれで本社に電話かけて、何ですかと聞くと。そういう連絡の取り方をしてたんですよ。

それがあってもみなし制は駄目なんだよというふうになっているんですから、

今時みたいにあの、みんながスマホを持ってて、

だいたい誰がどこにいるかっていうのは全部わかるような時代になって、そんなあの、そういう営業とかなんとかで外を回ってる人間にみなし労働時間制が適用できるはずがないんですが、

しかし未だに

毎年厚生労働省が、あの労働時間制度の適用状況を調査してますが、この後でお話をする裁量労働制なんかよりも遥かに多くの労働者が、実はこの事業場外労働みなし制で働いてます。で、だいたい売れ値で12,3％ぐらいです。

裁量っていうのは2,3％ですから、こっちの方が遥かに多いです。

ポケベルでも駄目なのになんでスマホではいいのか、ってのはよくわからないんですが、みんなそうやってるからというしか言いようがないんだと思うんですが、それがこの事業場外労働みなし制の話で、これは実は

全く1987年以来30年以上にわたって、それ自体は法律上のこの事業場外労働自体は変わってないんですね。

通達も全く30年以上経っても変わってなくて、ポケベル通達がいまだに生きてるんですが、ところが、在宅勤務については20世紀になってから、類似の通達やガイドラインが出されてきてますんで、

これが結構重要で、実は2004年に在宅勤務についての通達が出されていて、一定の要件で在宅勤務について、この事業場外労働みなし制を適用することはできるっていうふうに書かれています。

これがテキスト429ページのちょっと上の方に、�@から�Bにありますが、(p429の�@を読む)これは当たり前ですね。(p429の�A、�Bを読む)の3要件を満たす場合には、事業場外労働のみなし制が適用されると。

この通達について、その後実は、

経済財政諮問会議の労働市場専門調査会っていうね、八代直弘さんが会長をしてたところがあって、そこに呼ばれていろいろその取り決められたりして、もう少し細かく条件を書いた通達を

出し直しているんですけども、

回線が接続されているってだけでは、別にアウトにならないよ、とかですね、いうことが書いています。これに基づいて、ガイドラインっていうのが出されてきていて

この後2018年に新しい事業場外勤務ガイドラインってのができてたんですが、今回のコロナ禍でまたテレワークについての検討会が設けられて、私もその

検討会の委員になったんですけども、その検討会の報告書に基づいて、今年になってつい先日ですけども、今年の3月に

新しいテレワークのガイドラインってのが、

作られております。あくまでもこれもガイドラインですので、法的拘束力云々って話ではないんですけども、基本的にそういう形になっていきます。

これはどちらかというとやや脇道みたいなものですけど、こっからがメインの話です。

まさにこの過去30年間に渡って、一番この労働時間を巡って、バトルが

繰り広げられてきたのが、この裁量労働制とその後の適用除外の話なんですが、まず最初の、1987年改正で導入された、後に専門業務型と呼ばれることになる裁量労働制については、実は

導入の際には、ほとんど議論されていません。されてないっていうのは審議会で労働組合側から何の文句も言われてないし、国会審議でも野党、社会党とかいうところからほとんど

義務も議論もされてない。それはそういう研究開発職とか、あるいは

システムエンジニアとかといったような、そういう専門業務については、裁量労働制など当たり前でしょうというような感じで、特段あんまり議論なかったですね。この時。

ところが、そういう意味からいうと専門業務型の場合には、専門業務型でも、当然のことながら長時間労働になる傾向は高いんですが、

しかし、そういう仕事でしょうという感じが強かったんだと思うんですが、その後90年代に入ってから、この裁量専門業務型で導入された裁量労働制というものを、普通のホワイトカラーサラリーマンのある部分にも

適用しようという考え方が出てきて、これがその後の企画業務型の裁量労働制とかホワイトカラーエグゼンプションとかといったようなものに繋がっていくことになります。

で、最初にやろうとしたのは1993年の改正なんですけど、この時は議論があんまり進まず、労働側が非常に慎重だったので、それまでは専門業務という形の規定もあまりなかったんですが、それを法律上にむしろ明記するという形になりました。

その後、この労働省で裁量労働制研究会というのを設けて、ここでこういういわゆる一般のホワイトカラーサラリーマン向けに裁量労働制をどういうふうにやっていくかということをずっと議論していくことになります。

それが1998年の改正で、企画業務型の裁量労働制という形で導入されることになるんですが、

後知恵的に言うとですね、実はやりたい側、経営側は本当はホワイトカラーエグゼンプションをやりたいんだと。

なんだけども、いきなりホワイトカラーエグゼンプションっていう、適用除外っていうのは難しいので、まずはホワイトカラーエグゼンプションの中身というのを、裁量労働制という、すでに専門業務について導入されている枠組みを使って

導入しようという、そういう話だったんですね。

そういうこともあって、その裁量労働制の中に、それまでの専門業務型の横に、

企画業務型の裁量労働制と称するものを新たに導入するっていう形になりました。

だったんですが、正直言って、専門業務ってそれはわかります。

日本社会でやっぱり専門業務というのは現にありますし、

色んな考え方があり得るんですけども、少なくともそれが専門的な業務であり、裁量的な仕事をしてるっていうのは確かなんですね。

だけど、企画業務って何？って話で、

要は普通の一般的なホワイトカラーサラリーマンって確かに、ある面では企画的な仕事もしてるけども、別の面ではすごい??的なこともしてるし、何かというとホウレンソウとか言って、

報告連絡??も裁量制??話になるっていうんで、ここから企画業務になるものを切り出すという考え方自体が実はかなり??というか、あの現実から乖離した

制度設計だったんじゃないかなという感じが何て言うか、他人事みたいな言い方ですけど、するんですが、しかし、とにかく何かしなきゃいけない。しかもその、エグゼンプションってわけにもいかない。

裁量労働制でもってやるんだと。

裁量労働制でやる以上は何か特定の業務の話に切り出すしかないということで、こういう企画業務型という、おそらく

そんな業務って世の中に、業務っていうか個々のタスクのレベルであるかもしれないけども、そういったいろんなタスクを束ねた1人の、つまり1単位でやるんで、ある種ホワイトカラーサラリーマンの仕事が、1日中ずっと企画ばっかりやり続けてるなんてそんなばかな話ないんで、

これは何なんだろうって感じもするんですが、しかしこういう形で企画業務型の裁量労働制を導入したのがこの1998年。

で、この時にあの労働側はかなり非常に強く反発し、導入自体はしょうがないとしても、それを手続き規定でもってなかなか導入ができないような、あれやこれやの妨害する法規みたいなものをたくさん入れたんですね。

これに対してまた規制改革態度がこんなわけわかんないものを??してたらなかなか導入できないんだよと言って、これを今度はいっぱいはぎとろうとしたのが2003年の改正ということになります。

その後、法律自体が改定されたことはないんですが、この後でお話しをするホワイトカラーエグゼンプションの

改正の時とか、これはホワイトカラーエグゼンプション自体が結局失敗したんですが、あと高度プロフェッショナルの時とか、それに付け加える形で、この裁量労働制についても、一定の適用を拡大するような改正案が検討されていたんですが、いずれも結局

実現には至っていません。ホワイトカラーエグゼンプション自体が??してしまいましたし、高度プロフェッショナルの時には、これは後でお話をしますけども、

ちょうどこの働き方改革推進法案を国会に出そうという直前の段階で、当時の厚生労働省厚生労働大臣と、

それから安倍首相がですね、国会でなんかのやりとりの中で、裁量労働制が長時間労働をもたらすんじゃないかというふうな質問に対して、いや実は裁量制の方が短いっていう、

そういう調査結果もあるんだというふうなことを言ったんですね。

ところが調べてみると、

実はこの調査の集計がだいぶインチキで、本当はそれは間違ってたっていうことが、ボロボロボロボロとわかってきてですね。

これで結構国会がその議論ばっかりしてるような状態になってしまって、

結局この時に出そうとしていた、入れ込もうとしていた裁量労働制の改正部分は、??っていうことになってしまってるんですね。

これはこの後またリベンジしようという動きがずっと続いていて、今でもこの検討は続いてるんですけども、まだ裁量制みたいなのは動いていません。

これがやっぱり過去10数年間で一番重要な話です。労働時間の適用除外ですが、ただ労働時間適用除外っていうとみんなエグゼンプションだとか高度プロフェッショナルの話ばっかりするんですが、

実は一番大事で、日本の雇用社会に圧倒的に大きな影響を与えているのは、法律ができた時から存在する管理監督者、労働基準法41条の2と。

この管理監督者っていうのも、実はおそるべきことに何の手続きも要りません。

法律上の管理監督者は、適用除外だと書いてるだけです。

それは誰が決めるのかっていったら、最初に決めるんですよとしか言いようがない。

労使協定も要りません。

労使委員会の決議も要りません。

何にも要りませ。

要は会社がこういった管理監督者だと言えば、とりあえずは管理監督者になります。

とは言いながら、この法律が労働基準法が制定された70年以上前に出された通達ってのがあります。

その通達にどういうことが書いてあるんだっていうとですね、

やっぱりこれ、読むと結構多くの人がびっくりするんですが、一般的には「部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、出社、退社等について、厳格な制限を受けないものについて実態に即して判断すべきもの。」というふうに言ってます。

え、部長や工場長でなきゃだめなの？課長は違うの？出社、退社に厳格な制限？重役出勤じゃなきゃ、管理監督権ってないの？

あの、少なくとも70年前は、こう言ってたんですが、現実にはこんなことにはなってません。

世の中、課長になれば、もっと言うと課長クラスになれば、浜口君おめでとう課長になったね、これで君はもう残業代??なるよと、こういう話になるのが日本のほぼ圧倒的大多数の企業の実態であり、圧倒的に多くの人は、けしからん、法律上の管理監督者にはないのに、社長にしてやったからとか言って、残業代を奪うのはけしからんと言って、騒ぎ立てるような人間は、ごく稀にしか見ません。

ごくまれにしかいないということは、ごくまれにはいるんですね。

ごくまれにいろんな人間が裁判所に訴えると、裁判所は基本的に70年前の通達に従って判断するので、実は結構勝ちます。

世の中で、あの人って管理職だから残業代ないでしょって、世の中の99.9％が常識だと思ってるものは、実は裁判所の話に持ち込むとひっくり返ります。

じゃあ、これを裁判所に持ち込んでひっくり返そうっていう奇特な人は極めて珍しいので、

要するに終戦直後の通達に書かれていて、今でも裁判所に持っていくとそうなる話っていうのは世の中の圧倒的大部分の、波風立てずに普通にやっていこうと思っている圧倒的大部分の人にとっては縁のないところになっているというのが、今の日本の実態です。

このこと自体は結構普通にというか、かなり奇妙です。非常に多くの場合、会社を辞めてからさかのぼって訴えるっていうのが非常に多くのパターンなんですが、

実はこの通達の趣旨も生きてるんですよ。

一方でその後、1970年代に当時の労働省は変な通達を出すんです。

変な通達って何かっていうと、スタッフ管理職です。

スタッフ管理職って何かっていうと、管理してない管理職クラスのことです。

日本の人事労務管理っていうのはいわゆる職能資格制度で、よくコストとして管理してる人と管理してない人っていうのは一応別で、

課長クラスだけど、課長にならない人っていうのがいるんですね。

こういう、職能資格制度ではスタッフ管理という名前になっているわけですが、しかし、管理はしてません。管理してないけど、管理職クラスになってるんで、この人たちをスタッフ管理職っていうんですが、

これがなんとですね、1977年という段階で、当時の労働省が、

金融機関についてなんですが、通達を出して、管理してなくたって管理職クラスになってる人は管理監督者にしていいよっていう、そういう通達を出してる。

で、これも一点、つまりその両方の通達は、私ははっきり言ってお互いに矛盾してるしこれを同時にやれっていうのは頭おかしいんじゃないかと思うんですが、しかしそういうふうになってるんです。

なってること自体変なんですが、

ただどちらも筋は通ってるんです。どう筋が通ってるかっていうと、終戦直後の通達は本来の機能でもって管理監督者というものを見れば、??です。

で、実は日本みたいに現場の管理者に人事権がない、というのは日本の特徴であって、だいたい諸外国には管理職っていうのは、

基本的に日本でもですね

非正規たる人事権ってのがあるわけですよ。

非正規っていうのは現場で採用して、現場でもうあんたいらないよっていうことをやるんですね。

実はこれと同じぐらいの感覚であって、普通の職場で雇うっていうのは、実はそういうボスに採用解除の権限があるんですね。

それが通常の管理職というものの感覚なので、

欧米でのごく普通の感覚でもって、労働基準法の管理監督者について解釈すると、当然そうなります。ところが日本では、そんな権限持ってるのは、本社のお偉いさんだけなんです。

現場の管理職には実はそんな権限ないので、だから管理監督者を厳格に解釈すると、現場の管理職は管理監督権あるんですね。

一方でその後、高度成長期とともに、職能資格制度がどんどん拡大してくると、実際に管理する機能を果たす管理者よりも、もっと多くの人を管理職クラスとして処遇しなきゃいけなくなった。

一番最初は金融機関でそういうのがどんどんできて、何々課課長とかいうのがいっぱいでてきた。今はもう金融機関だけじゃなくていろんなところでその後どんどんどんどん拡大していきます。

そういう者に対して、

残業代を払うべきか、払わないべきかっていう観点から見れば、それは職能資格制度で基本給は基本的に同じクラスですね、基本給は同じクラスになっているものが、

一方は管理の機能を果たしていて、一方は管理の機能を果たしてないからと言って、後者と同じぐらいの給料をもらってる人間の方を、なまじ管理機能を果たしているから、残業代ない??。

なまじ管理機能を果たしていない、企画管理職になってるからといって、残業代をすぐに払える??なんてことになったら逆に不公平じゃないかっていうのはこれはまたよくわかるはず。

よくわかる話なんですが、

逆に言うと、そういう問題意識でもってこの企画管理職に対して、まだ適用管理監督者として適用除外を拡大するというのは、もはや1970年代というこの段階においては、労働省自らも

時間外労働時間規制というのは、残業代のことだと。

残業代が全てだと。残業代を払うか払わないかということが全てだというふうな発想にもうどっぷり漬かってたっていうことが、逆に言うとこの1977年という段階で、

そういう通達を出したことの背景にあるだろうというふうに思うんですね。そういう意味で実はこの企画管理職というのは、後のホワイトカラーエグゼンプション、もっと言うと企画業務型の裁量労働制ですが、

ホワイトカラーエグゼンプションという形で議論されることになる物事というものを、

いわばこの法改正でなく、通達というすごい姑息なやり方で、ある意味先取り的に実施したものだと言っていいようにも思う。

これだってしかし元々の管理監督者のあれなので、管理職に至って、それはあの、恐れながらといって裁判所に持っていったらひっくり返るんですから、企画管理職なんていうのは駄目なんですが、

なんだけども、しかし現実の社会ではやっぱり職能資格制のもとで、管理職クラスになれば残業代を払われなくなるという形で運用しているのがほとんど全てになるというふうに思います。

が、それでもしかし、なかなかこれだけではもう回らなくなってきた。

というのがおそらくこの90年代以降、ホワイトカラーエグゼンプションというものが、

要求されるようになった背景にあるのではないかなというふうに思います。

要は、職能資格制で言う??クラスに行くもっと前の段階から、もうちょっと高くなりすぎているので、この人たちは残業代を払えなくなる、要はエグゼンプションの問題、企画業務型の裁量制もそうですし、

ホワイトカラーエグゼンプションの問題というのは、基本的には??をスタッフ管理職に拡大した時の問題意識と一緒で、

残業代を払いたくないというのが一番大きな問題意識だろうなというふうに思うわけです。それを労働時間適用除外という形でもって議論するために、

話が非常にねじれていて、

どういうふうにねじれていたかというとですね、要はその、

要求する側は、??エグゼンプション…と言っていればいいんですが、これを厚生労働省の研究会と審議会で議論しようとするとですね、いや給料高いから残業代払わなくてもいいんじゃない？とはいえないわけですね。やっぱり労働時間適用除外ですから。

労働時間を適用しなくてもいいような働き方をしているのは何かというとですね、

例えば労働時間制度研究会では自立的な働き方をしているから、あるいはその後の労働政策審議会の議論では、自由度の高い働き方をしてるからとかそういう、ある種裁量制に引きつけたような、あの議論、言い方になるんですね。これはある意味討論で、労働時間規制っていうのは、本来銭金の話以前に、

労働時間という物理的な量的な規制をどうするかっていう話なんで、これを外すっていうのはやっぱり働き方そのものの問題に

??かけるしかない、論理的に言うと、残業代っていうのはあくまでも??にすぎないはずなんですが、ただ現実に、別にそんな適用除外だろうが裁量みなし制だろうが、そんなものはない。

ごくごく一般の労働者であっても上限規制がないので、ある意味この??、残業代さえ払えば、無制限に働かせることはできるんですね。

無制限に働かせることができるっていう意味で言えば、管理監督者もみなし制もエグゼンプションもたいして変わりがない。何が違うのっていうとそれは残業代が、って話に、日本の実態から言えばこうなります。

日本の実態から言えば残業代を払うか払わないかなので、現実的にこういうのを求めてるっていうよりも、あるいはけしからんって??も、そこにもっぱら焦点が当たります。

この??の方針でこのエグゼンプションをやるんだっていう話になっても、なった直後に、新聞紙上で残業代制度がなんとかっていう批判的な記事がわーっと出てですね、結局あの、

その批判を受けてひっこめてしまうということになる。

2008年の改正は結局一番あの値段までやったエグゼンプションがなくなってしまって、先ほども言った月60時間を超える時間外の??が60％にするとか、

年休を、時間単位でとれるような、変なわけわかんないだけの改正とか、非常に変な改正になってしまったわけですが、

でその後しばらくおとなしかったのですが、

第2次安倍内閣になってから再び、あの先ほどの規制改革会議は本人?ということで、その上限規制とあわせて、このエグゼンプションがもう一遍やると。産業競争力会議の方は、上限規制なしでこの残業エグゼンプションをもういっぺんやろうって話になり、これを受ける形で、??を受けて2015年に、あの改定の??。

この段階では全体の上限規制ってなかったんですが、この高度プロフェッショナル制度を適用する要件の中に3択の形で、

これはテキストでいうと446ページの真ん中からちょっと下の方に�@から�Bで書いておりますが、いわゆる一旦

インターバル規制を導入するか、

あるいはこの、健康管理時間という、労働時間とは違うんだよって言いながら要は

退社時間と自宅での時間の合計が、規定時間を超えないことっていうもの

か、あるいは�Bとして、年間104日以上の休日というものか、3つのどれかを導入しないといけないよっていう、側面的な形で、

一種の上限規制的なものを導入しようとしていたといえます。

これは規制改革会議で言っている、

??の法改正というのではなくて一本だけなんですが、この一本の高度プロフェッショナルの中に、こういうその高度プロフェッショナルってごくごく限られた人たちにだけ、こういう上限規制的なものと、導入しようという形で入れたのはこの2015年の改正案。

ところこれは国会では全く審議されないまま潮時になって

それが先ほどお話をした働き方改革の中で、

本物の上限規制の話が出てくる。これがあの2017年3月の

働き方改革実行計画に盛り込まれ、それがこの2018年の法改正に繋がるわけですが、

実はこのプロジェクトの中でですね、非常に変なことがある、変なことっていうのは、連合の??会長らが、官邸に行ってですね、

上限規制は既に入ってるんですが、??が、それと少し前の2015年に国会に出されたままになっていた

高度プロフェッショナルの改定案もこれと一緒に出そうという形になっていたんですね、この一緒に出そうというものの、高度プロフェッショナルの適用要件である3択について、そのうちの年間104日の休日を義務化し、残りの2つに

健康診断みたいなものも合わせた4つの中から何か一つを選んで、という形のものにしてくださいということを持っていった。

持って行ったんですが、これに対して労働組合が、必ずしも連合の内部とも限らないんですけども、外側の…??が、ここが猛烈にこれを批判して、結果的にその連合がこれを

ひっこめるんですが、しかし、政府の方はその連合が持ってきた案を導入する形で、2018年の改正に盛り込むという形にしました。

で、話が非常にごちゃごちゃと込み入っているんですが、連合は持ち込んだ案も腰が引けていたことは確かではあるんですが、折角そういうふうになったものに対して、非常に批判をしてしまって、

ていうのも非常に変な状況だという感じがあります。非常にこの辺りのものの議論の仕方は非常にあの話が複雑な状況になっています。

最後が兼業副業、なんか本当に非常に時間が過ぎちゃいましたけども、一番大変なところで労働時間について大きな議論になったのは、兼業副業の問題で、

働き方改革実行計画にも盛り込まれて、その後ガイドラインになり、でいろいろと議論されていたもので、昨年、このガイドラインが改定をされて、基本的にこれ、

別の会社であれば、もう通算しなくていいっていう案もあったんですが、最終的には、通算はします。ただし通算する際には完全な計算方法でやれますよっていうガイドラインになりました。

はいということで、すいません時間が大変

過ぎてしまいましたけども、とりあえずここまでで労働時間の話

なので、ここまでで、質問や意見を付けたいと思います。

はい、

どうもえらい長かったんですけども、

労働時間の話をしました。ここまでのお話について質問かご意見等あれば、どなたからでもご自由に。

生徒A:すいませんあの

公立学校の先生の労働時間の話とかあたりで、年次有給休暇が日本は1日単位で細切れで

取れたものが今度は時間単位になったりっていうところが、ILOの基準からはだいぶ乖離してるっていうお話があったと思うんですけど、そういった状況が生じる理由としては、

個人的には、海外と日本だとその休みに対するなんかこう何て言うんすかね。

考え方とか背景が違うから致し方ないのかなっていう気もするんですけど、実際先生はこういった状況ってどういうふうに見てらっしゃるかなと思ってお聞きしたいんですけど。

先生:いろんなレベルの話があると思うんですよ。さっき言ったようにあの法制度の建付け(?)の問題もあるんですが、ただやっぱり一番大きいのはやっぱり戦後日本で確立した正社員のあり方っていうものが、基本的にいわば会社の一員として無制限に働くっていうのがデフォルトになってしまったっていうのがやっぱり一番大きいんだろうなとは思いますね。

そっからですね、いろんなことが多分導き出されてきていて、

例えば、この時間外休日労働の上限規制っていうのがもう非常に長い間行われてこなかったっていうのもそうですし、あの年次有給休暇というものが何ていうか、

極めてその、おそるおそる取るのが当たり前になったっていうのもたぶんそうでしょうし、それが非常にその、何か社会のいろんなところに

この考え方が染み通ってしまっている、というのがやっぱり多分根っこにあるんだろうなとで、そのもともとそれとは違う考え方で、作られた法律制度もそれに合わせる形で、

あの運用されてきている、とかね多分やっぱり根っこにあるのは法制度というのを建付けというよりは、働き方の考え方の哲学みたいなのものに、

あるんだろうなっていう気はします。

ちょっと全体的に抽象的すぎますけど。

あとは細かいところの話なんかでまたいろいろ出てくると思いますけど。

生徒A：わかりました。

ありがとうございます。

どなたでも、

木下：給得法のところなんですけども、

ちょっとわかんなくなったんで整理したいっていうんで確認なんですけど国家公務員の

ところは一応なんか残業代って支払われてる

まずその実態と合ってるかどうか別としても、

払われたりしてるのかなと思ってたんですけど、この地方公務員の教員の方々については、

残業代は払われてないってことになるんですか。

先生：あのね、

まず言うと、

労働基準法が適用されないといっても、公務員法で、実はそれに

相当するような規定はあるんです。

あるいは、国家公務員であれば国家公務員法に基づく人事院規則ってのがあって、この人事院規則で、人事院規則ではちゃんとあの三六協定ってのはもちろんないんですが、残業についてはあの残業代を払わなきゃいけないとちゃんと書いてありますが、

が、労働基準監督

はないです。

じゃあ誰が監督するんだっていうとそれはまあねおかみは違法なことはしないはずだという建前になっているので、なのでこういう話になるんですね、これは地方公務員の場合も基本的には一緒、というか地方公務員の場合はまず、労働基準法が原則適用されてますと。

原則適用されてるんだけども、実はだからあの37条もあの適用になってます。なってるんですが、だからちょっと国家公務員とそこは違うんですが、あの要するに根拠規定が国家公務員の場合労働基準法ではなく、国家公務員法とそれに基づく人事院規則、

地方公務員の場合、地方公務員法ではなくて、労働基準法そのものが、実は適用されてるんですが、しかし、労働基準監督官が監督はしないんで、何がやるんのかっていうと、

人事委員会。人事委員会がなければ、その地方公共団体の長が監督しますということになってるんで、はっていう形になってるって話ですね。

なんですね。

いずれも実態はそのこういうそれとはもう

あのかなりかけ離れた状態になってるということですね。

一方

教員について言うと、これはこれがねでも、この給得法の建付けっていうのは非常にその、その

説明がしにくいんですけども、まず、あの給得法によってそうでなければ、その適用されている労働基準法37条が適用が排除されるので、そういう意味では残業代は払われないことになって、

なってるんですね。

ただ給得法上で４つのケースだけで超勤を命じることができると書いてあるんですね。

その部分は４つにほぼ相当するものとして、4％が調整額を払うという形になって、

ここはあのある種のみなし残業制をとってると言っていい。で、だから払わないって言ってるんじゃなくて、一種のみなし制をとってるんで、あくまでも給得法上で、公立学校の

教師の時間外勤務、超勤ってのはこれこれですよと、これ以外はないんですよという建付けなんです。

ところが実際には、そこに書いてある、あの四つのあの超勤四つの超勤以外に、実際には山のようなことをやってるんで、それは何ですかと問われると、

文科省は、いやこれは自発的にやってるだけですと。

給得法上のものではありませんという説明にしていて、実は日本の最高裁判所もそれを認めてるんですよ。私はこれはあの、僕、インチキじゃないかと思うんですが、一応裁判所もこんなふうに一応認めてしまってます。

あれは自発的だという話になっている。

なので、なので逆に言うと、変えにくいんですよ。

つまり、今回働き方改革で、この先生無茶苦茶やってるじゃん、で医師もやってるじゃん。だから医師はなんかやりましょう、学校の先生も何かやりましょうって話になったんですが、今までにすでに給得法で、

そういうふうな建付けになってて、かつその建前はこうでっていう説明、インチキな説明をしてしかしそのインチキな説明が裁判所でも通っちゃっているので、今更それは間違ってましたからっていう説明にできないもんだから、

こういうその

いや、給得法上のその何ていうかあの、そのそれはこうなんだけども、それ以外に代行時間＋なんかわけのわかんないことを一生懸命言ってんですね

これを

低減するガイドライン作りますっていう、苦しい別名のものにせざるを得なくなってるというのが多分今の実態だと思います。

木下：はい、ありがとうございます。よくわかりました。

笹田：先生よろしいでしょうか。

笹田さんどうぞ。

笹田：あのスタッフ管理職というかみなし管理職ところの問題について聞きたいんですけども、

これは、要は管理監督者なので、そもそも上限規制ですとかそういったことから対象に外れていると、ただ今これもよく言われてることですが、いわゆる一般職員に対する働き方改革ってのはかなり急速に

職場でも注意するようになっていて、早く帰れだとか、その上限の上限基準かなり守るようになってると思うんですが、実はその管理監督者、しかも管理職じゃないけど管理職みたいな人も含めて、たぶん多くの方が管理職

っぽく扱われて、そこの改善の問題がすっぽり抜け落ちているような気がするんですね。

実はその管理職の問題の方が深刻だったりする場合があって過労死ですとか、

その辺の改善の

動きがあまり見えないようなんですが一般職員ばっかりでですね、その辺の改善の何か兆しってあるんでしょうか。お聞きしたいんですけど。

先生：改善の兆しというか実はここに引っかかってるのは実は労働基準法ではなくて、労働安全衛生法上の

労働時間の把握義務なんですよ。

66条の8の3っていうのは、あれはあの要するに残業代とは切り離された、いわば健康管理のための労働時間の状況の把握義務で、

あれは実は管理監督者も、裁量労働制も対象に入ってですね、そういう意味からいうと実はあの、あの、

引っかけるとしたらたぶんそこなんだろうなっていう、逆に言うとその、あの、もともとは残業代のためによってのものではなかった管理監督者が、結果的にも完全に残業代のための適用除外になってしまい、

で、残業代の適用除外という観点からすれば、それなりに合理的な形でどんどん広がってきたもののが、あのなまじ一般職の方は今働き方改革でまたその時間短くしなきゃいけないというふうに

なってることのツケがいわば、

あの回ってきて、おそらくその昔のこのスタッフ管理職なんてのはどちらかって言うと暇こいてる人が多くて、その残量代払わない、あいつらに残業代やるのはもったいないよなと長時間労働で困るなんて話は多分あの、

あんまり想定してなかったと思うんですが、それがやっぱり今は多分かつてこういうことが問題になった時代とはやっぱり違ってきてるので改めてあのここを議論する必要は私はかなり高まっていってるんだろうとは思います。

そういう所から言うと本当にこのなんて言うかこの

この

先ほどお話してあの、結構あきれた方も結構いると思うんですが、終戦直後の通達の感覚維持の考え方も残ってるし、70年代のスタッフ管理職の方に残業代払わなくていいよと言っただけの

あの感覚、考え方のやつも残ってるし、という残ったまま、今度はまたこちらの方で働き方改革で労働時間をもっと短くしなきゃいけないっていう話は話でどんどん進むという

あの、その過去のこのそれぞれの時代のあの物の考え方の遺物みたいなものが残ったまま、どんどん次から次へとものごとが動いて行くので、

結構それがなんでいうんだろう矛盾が、その溜まるところに溜まってしまう傾向っていうのはあるんだろうなっていう気はします。今笹田さんが指摘された問題は非常に、あの重要な

大きな問題だろうと思うんで、要するにこの質問、どこに糸口があるのかというと、やっぱり

この働き盛り改革でちょっとこんな形で入り込んだものなんですが、

労働安全衛生法にどの、管理監督制であれ裁量労働制であれ、労働時間の状況の把握義務っての入ってるっていうのは、少なくともそこには着目して、そっから何かの対応を

しないといけませんねという、あの糸口にはなる規定なので、そっから物事を組み立てていくしかないのかなとは思ってる。

笹田：ありがとうございます。

先生：他にどなたか、あります、

はい、岩川さんどうぞ。

ちょっとシンプルな質問ですけれども、年次有給休暇がある程度働いたら、年間20日もらえる企業が多いと思うんですけれども、もう20日っていう根拠ってその、海外と日本の年間休日数

が、そういった面から比較して何か20日っていうところの根拠とか、

そういったものはあるのでしょうか。もしあれば教えていただきたいなと思うんですが。

根拠は特に、これは終戦直後に、終戦直後は最初は6日でだんだん増えて、最後は20日にって本当にこれはもう、おそらくもう感覚的に20日というのが上限で、それ以上ってことはありえないだろうって思ってたんでしょうね。

したらそのあと世界的にもっと長い、という国も出てきてるんで、別にそれが今、あの上限として守らなきゃいけないわけでは多分ないんでしょうが、実態としてこの上限が終戦直後から増えてない最大の理由は、

そんなもの増やしたところで、実態として平均取得率が半分以下なのにそんな上限だけ増やしたところで何もないんだろうっていうのが多分一番大きな理由だろうと思います。

そういう意味からいうとこの一昨年の改正で一応その

5日については、必ず無理矢理にでも取らせないとその罰則がかかるというふうになったので。

なったので、しかし

ちょっと結果がどれぐらいになってくるかっていうのと、楽しみなんですが、一方でしかし一番実はもちろんそれもあるんですが、

一方でその要するに、

一日単位っていう原則だし時間単位にもなってるっていうことにからするとですねちまちまととる

というあり方自体は全然変わってないというか依然としてむしろどんどん拡大している状況なので、

そんなにその世の中が20日を超えて、その上限をもっと上に上げる必要があるんじゃないかたいな議論が一般に、その提起されるような状態には、そう簡単にはならないんじゃないかなと。

いう気がしますね。

岩川：わかりました。もうちょっと欲しいなと思ってですね、個人的には

先生：あとね、実はちょっと今日あんまりもう時間ないんですがこの後のワークライフバランスのところで、特にあの介護休暇っていう制度が導入されてはいるんですが、実はそんなにあんまり使われないんですね。

やっぱり、

変な話ね、つまりあの理屈をつく休暇ってちゃんとそのためのいろんなもの、整えなきゃいけないみんなめんどくさいので、結局あの使い勝手の良い年休を使っちゃうのが多いんですよ。

結局ね、それを使いながらの連休を残しておきたいっていうのもあるってなかなかそう簡単に、特にあの、年度初めのうちであんまりたくさん使えないみたいのもあってですね結局その辺がぐるぐる回って、

なかなかその、要するに年休に使わなくていいようにいろいろ何とか休暇っていろいろ他に作っているわりに、なかなかそちらに行かないという、どうもあのちょっと日本の現状として、結構あるのかなと。

いう感じですね、

あのなんだろう、連休って

その、使い勝手が良くて、なんであの変に申し訳ないって思わなくていいが故に、これちょっと非常に皮肉で申し訳ないから年休をあんまり使わないっていうのがある。

一方で、一方で年休が、

一番このあのなんかこれこれこういう理由でみたいなこと言わなくて済むから、あの使いやすいのがあるために、結局その年休にいっちゃう。結局年休に行っちゃうから年休がまたその、いざというときに年休

残しておくために使いにくい。

あの、こういうあの、なんか妙なサイクルみたいなのが、あの回ってる感じはします。

岩川：なるほど、大変よくわかりましたありがとうございました。

先生：他あります。

ちょっと今日あんまり時間が残ってないんで、あの、この後ちょっとちょっとこのあんまり休み時間を取っちゃうと、

あれなん10時がもうあと30分後なんで、すいませんこのままの休みなしにワークライフバラクの話を一気にやっちゃっていいですか。なんか申し訳ないですけど、

はいすいませんちょっとやっぱり考え方が少し甘かったみたいで、なんですが、

この後の

これだ。ただあの育児休業とか何とかいう話を

えっとですね、

していくときりがないので、育児休業法とかあの介護休業法の話は、ちょっともしかしたらちょっと先の方でもういっぺんすることがあるかもしれませんが、今日の話との関係で言うとですね実は結構重要なのはこの

深夜業の制限の激変緩和措置の話なんですけどこれ何かっていうと、女子保護規定、終戦直後戦前の工場法を受け継いで、戦前戦後の労働基準法では女子保護規定ってのが設けられました。

深夜業は原則禁止です。それから時間外労働も1日２時間と年150時間といった制限あります。というふうになってました。が、これが最終的には1997年の男女雇用機会均等法の改正に伴う

労働基準法の改正によって、基本的にこういった女子保護規定は解消されることになります。

まずはこの深夜業、については

深夜業については、労働基準法の制限がなくなって、そして育児介護休業法上に、育児介護をする労働者については、あの深夜業を免除してくださいという請求権という形になりました。

時間外労働の方についてはもうちょっと話がでこぼこしていてですね、一旦はあの激変緩和措置という形で、育児介護をする女子労働者についてのみ、あの一定の提言をするという形になります。

その後に2001年の育児介護休業法の改正によって、こちらも育児介護をする労働者が時間外労働について、週24時間を超える時間外労働については、あの免除してくださいというそういう請求権を

設けるという形で落ち着いた。結果的に言うとですね、結果的に言うとその法律上の深夜業や時間外労働の禁止規定というものが、禁止あるいは制限規定というものが、

要は、

労働者の方から免除してくださいっていうことを請求する権利っていう形になります。請求権なので、そういう請求権だって所に着目すると、これは強い権利といえば強い権利なんですが、

しかし、これこそその、男性がですね、あの子供を育てるために、あの時間外にできませんとかそういう請求権を行使できるのかっていうと、

あの実はもうほとんどそんなものはできない状態だというふうに思います。

あるいはこれ元々その育児休業法のところから努力義務として存在していたんが、それがですね、

この2009年の改正で、短時間勤務についても保守義務という形になっているので、そういう意味で言うと、その

育児とか介護といったことに、あの絡む形での法規制というものは、あの一つ一つを見ると、非常に事細かにですねこの他に例えばこの、看護休暇だとか介護休暇だとか非常にこと細かにいろんなあの

保護規定ってのは設けられているんですが、基本的にはこれらを全て労働者の権利という形で要求して、実現するという形の規定になってますんで、

それでどこが悪い、それあの、どこでも基本的にはそうなんですが、ここであの先ほどの質問であの出てきた、その日本のいわゆる正社員の働き方のあの哲学みたいなものとそこがものすごくフチ当たってしまうんですね。とりわけその

年休も特にやっぱり、あの傾向ってのは非常に強く出るんですが、とりわけこの仕事と家庭の両立みたいな話になってくると、はっきり言うと

女性だから、

家庭のことも大事だよねと上司や周りがある程度考えるであろうような人であれば、その

私は子供育てなきゃいけないんですとかなんとか言って、あのそういった休業とか休暇とかあるいは短時間勤務といったような形でそれをあの要求することがある程度は受け入れられるにしても、

そうでない、要はそのいい男のくせに何をお前は言ってんだみたいな感覚が非常にまだ強い、あの日本の社会では、あの

法律上は非常にこと細かに、しかも男女全く同じように規定されてる権利として、様々な規定がこと細かに規定されているんですけども、

実体的に言うと、その非常にかなりの程度、これが絵に描いた餅みたいなものになってしまってるところがあるんじゃないかなっていうですね、一番非常にある意味わかりやすいのは、厚生労働省は毎年その男性の育児休業の

取得率がこんなに上がったっていうようなことをもう一生懸命発表してるんですね。

それを見ると最近なんか六、七％ぐらい上がってきたと言うんですよ。

それだけ聞くと、なんかすごい少ないとはいえ結構立派なもんだなと思うかもしれませんが、あの数字ほどインチキな数字はないんで、女性の方はですね、

このだいたい育児休業の取得率っていうのは8割あるんですが、その取ってる育児休業期間ってのはだいたい1年前後

原則1年であの、なかなかその、保育所に入れられないと、その1年半とか2年とかっていうのも例外的にあるんですが、なんか1年弱ぐらいが平均なんですけども、男性の育児休業って、

実はあの半分以上は、5日まで

あるいは5日から10日というのでほぼ大部分を占めていて、そんなものがそもそも育児休業っていう名に値するのかどうかかなり疑わしいんですが、しかし、そういうことを今一生懸命やってる。あるいはこの一番下に書いてある2021年改正って、まだ成立してませんけども、

今国会で出ている、法改正案ではね、

どうなってるかっていうとこの、国家の方が、女性の方が産休を取っている間に、いわば男性産休みたいな形で一種の育児休業を取れるという、そういう法改正も入れて、

非常にありとあらゆることをいろいろやろうと

してるんですが、それがどれぐらいの効果をもたらしているのか、正直かなり

疑わしいなというのがありま。すいません、ここ非常に逆にかなり飛ばしちゃったんですけどもいろいろあの後ご質問等いろいろあるかもしれないので、テキスト見ながらでもいいんですけど

ご質問やご意見等いただければと思います。

あるいは先ほどの労働時間の話でも結構ですけど。あの、どうぞ。

生徒A：ワークライフバランスのところ結構興味があったのでお聞きしたいのですけど、ワークライフバランス憲章とかが出たり、

日本でも、ワークライフバランスのことがすごく

フォーカスされるようになったのはやっぱり少子化の影響が大きいんでしょうかそれとも海外とかの色んな動きとか

に乗ってじゃないですけど、なんかどういった側面から言われるようになったのかなっていうのがちょっと気になって、お聞きしたいんです。

ワークライフバランス憲章はちょっと違いますが、日本のこのワークライフバランスというタイトルのもとに行われてきたいろんな法政策の大部分は、基本的に少子化、

が最大のドライブだろうと思います。

そもそも育児休業法が制定された時も、あのその前の年に、出生率が急激に落ちたっていうことで、１.5とかなんとかあの、

1.53にまで落ちたということが最大のドライブになって、それまであんまりあの真面目に考えてなかった自民党が急きょなんか一生懸命議論しだして、育児休業法の制定に繋がったというそういうプロセスもあるので

すし、あるいは21世紀になってけども基本的にこの

この

次世代育成法だなんとかっていう、そのそうした少子化対策の話のストーリーと常に、らせん状を描きながら、話が進んできているのは確か。

で、

逆に言うとそういうふうになってきたが故になってきたがゆえに、本来の意味でのワークライフバランスというものよりは、非常にこのなんていうんだろう、その

いわば家庭責任を負っている、だからもう暗黙のうちに女性を前提とした家庭責任を負っている人向けのあの法制度という感覚でもって、ずっとその

話が動いていて、一般的なワークとライフのバランスをどうするかみたいな発想っていうのはどうしても

薄くなりがちだったのは確かだと思います。で、そういう意味からすると非常に皮肉な話ではあるんですけども、このワークライフバランス憲章っていうのは、逆にこのなんていうかな、あの先ほどあの

テレワークの所でちらっとお話をした、経済財政諮問会議の労働事業改革専門調査会っていう

八代尚宏さんが会長やってたところが、むしろリーダーシップをとる形でできてるんですよ。

なのでちょっとあの話のあの流れの推移があの少し違う。

で、問題意識的には多分なんていうのかな

日本の働き方そのものの見直しみたいな問題意識が、あの背景にあって抱かれたんだと思うんですが、

逆に言うとこれはそういう意味でそれっきり。

そのワークライフバランス憲章はそれっきりで、あんまりそれがその後どうなるかっていう話んではない。

ですね。

これ自体が別に強制、法的拘束力のあるものでも何でもないってこともあるんだと思うんですが。

ただあの、ワークライフバランスというものを明確な形でこんな風に打ち出したっていう意味では、逆に珍しいものだったと思います。

生徒A：はいありがとうございます。

で何かこうワークライフバランス、多分その少子化で子供を持とうっていうところの人たちとかそういう女性、家庭を持とうっていう人たちに対して向けてるのかなってなんとなく薄々は感じていたんですけど、

一部でそういうふうに全体的な皆さんのワークライフバランスを考えるっていう視点を持って一応話を出してる方もいたんだなあと思って、その辺をちょっと興味深く、

聞いてました。で、

あとちょっとそれと関連するかって言うとあれなんですけど、

教科書639とかに不妊治療との仕事の両立っていう話もあって、それに限らず

ですけど、結局仕事と何かを両立するとか、子育てと両立するとかって言って、その両立する対象を何か絞っていろいろ何か制度が出来てる

なっていうのは別途ちょっと調べたりして、

見ていたんですけど、そうすると結局そういう制度を利用する人たちには一応恩恵があるけど、そうじゃない人たちは結局なんかこうその分の

なんていうか仕事を請け負ったりとか、貧乏くじを引いちゃうじゃないですけどあまり

恩恵が実際はなかなかないかなっていうところがあって、そういうところは結局時間外労働だったり、何か管理職の人が残って結局その分やったりとか、そういうことに繋がってるのかなっていうふうにも感じていて、

トータルで皆さんがうまくワークライフバランスが整うような働き方ができたらいいのになっていうふうに思っているところなんですけれども。

後半はちょっと個人的なものも含むんですが、

先生：いや、おっしゃる通りだと思いますつまり、

要するに働き方そのものが根っこからワークライフバランスというものでは多分ないんですね。

で、

だけど僕はやっぱりいろんなところで矛盾が発生してくるんで、この一番コンフリクトのあるところに、

着目していろんなことを多分対応していってるんですが、ただ、根っこのところがそもそも無制限にあのとにかく

そのある意味、会社の必要があれば無制限に働くことを、ありうるべしみたいなのが根っこにある中で、そういう個別事情ごとに対応するみたいなことを積み重ねていくと、変な話、あの人は

ああいうそのワークとバランスさせるものがある、ネタがあるからいいよなみたいな、あの感じにあのなってしまう、たぶんなっちゃう危険性があるし、たぶんかなりの程度もうなっちゃってる可能性はある

んだろうと思います。それこそ変な話、その既婚女性のツケを男性と未婚女性にいってるじゃんみたいな話とか、あるいは先ほど笹田さんが言ってた一般職の

時短のツケを管理職に回すとか何かこういうみたいな話が、結構あちこち渦巻いていて、決してその何か健全じゃないなあと、ただ健全じゃないとは言いながら、

根っこにあるのがそのできるだけその

つまり、

ある意味で仕事の仕方の一番根っこの哲学のところみたいなところから話が発生している話なんで、

なかなかそこは難しいんでしょうね。

これはあの、

本当にいろんな組織でその官民問わず、いろんな組織で聞きますし、もっと言うとこれはそのいわばこのワークとバランスさせるべき何らかのライフがある話なんですが、

それこそなくてもその自発的にバランスをさせちゃってる人と、もうあの人のことは関係なしに私はワークライフバランスだよと言ってる人と、

それのツケをあの自分が受けざるを得ない人っていうのがおのずから出てきたりとかね。

なんか結構その日本社会の上手く回れば、そのお互いに配慮しあって非常にその、円満にうまく回っているものが、そのいわばその暗黙の忖度と、

それに安住しているなんかあの、あの非対称の関係みたいなものがねじれると、どんどん話が変になっていく。

みたいなことが多分あちこちで起こってるんだろうなという、気はします。

生徒A：ありがとうございます。

よくわかりました。

先生：他にどなたでもどうぞ。

すいませんねなんか一気通貫にしちゃったんでちょっと本来、休み時間を入れるべきだったんだけどちょっと私の、あの、あれでたしちゃって申し訳ないんですけども、

あとまだ15分ぐらいありますけど、どうぞどなたでも。

笹田さん：先生いいですか

先生：どうぞ笹田さんどうぞ。

これは

勝手な感想なんですけども、さっきのマイカーレポートのところでも、総労働時間1,800時間を入れることができたのは、バイアスというんでしょうか、そういった貿易の産業問題に絡めたので実現できたみたいな話があったと思うんですけれども。

なので結局

働き方の問題とか、

日本の文化の問題だとかって考えると、

同制度を作っても結局取らないとか取りづらいとか、同じような問題になるので、例えばSDGsですとか、最近やってるESG投資ですとか、何かそういう外圧でそうしなければ例えば投資がうまくいかなく融資が受けられないだとか、

そういう切り口の方が何かこの日本人には結構

かえって効いたりするのかなと思ったりするんですけども、そういう観点から労働時間とか働き方を改善していく可能性ってのはあるんでしょうか。

先生：ないことはないと思うんですが、ただ日本って、

SDGｓだとか、こういうこのある種のその

の、ある種のコーポレートレスポンシビリティみたいな話を

やるときには、あんまりなんていうのかな

要するに自社の労働者の労働条件とか労働関係みたいなものってのはあんまり中心的に置かれてない感じがあるんですね。これあの、

他の国あのねあの他のそのCSRとかSDGｓの国見ると、結構重いこの例えばこのサプライチェーンの先の方の話も、もちろん重要

だったりするんですが、あるいは環境なんか重要なんですが、結構それと同じぐらいうちの要するに自社の労働者の扱いみたいなものも、結構その大きな位置づけを占めているんですが、なぜか日本だとそれがあの割と小さいんですよねね。

なぜだかなっていうのをいろいろ考えてみると、逆にそれは身内だっていう意識が強すぎるからじゃないかなと思うんですよ。

要するにね

つまり、

世のため人のためにこんな良いことしてますっていう話のネタに、身内の話なんか持ち出して何言ってるんだってみたいな感覚が逆に日本人だとあるんじゃないかな、あるから、そうなんじゃないかなっていう感じがして逆に言うとその、なんであの諸外国の場合、

CSRとか言う時にCSRというものを割と低めに、あの自社の労働者も労働よりみたいなのが、入ってくるのは、変な話それはよそ者だからですね、

従業員もやっぱりこの、そういう意味じゃ雇用契約での相手方であるものなんですよね、よそ者っていうあの配慮すべき相手なんですよ。

つまり変な話日本では、私はメンバーシップ型って言い方してますけども、あまりにも自分の身内だっていう意識が強すぎるゆえに、そこに配慮してるっていうのが、何かこの世のために何かしてるっていう風に見られずにかえって、

あの自分らのためになんかズルしてるみたいな風にかえって

このという社会意識が強いゆえに、逆にそれがあの逆にその気が悪くなってる面があるんじゃないかなと。

いうふうに思ってて。

だとすると、この笹田さんのいうそのそれが特効薬になるんじゃないかっていうのも、どうもあんまり特攻薬になりそうにないんかなっていう。

だから何かこういう話してるとなかなかね、いいネタがないんですけども

それこそその、

変な話、日本はうさぎ小屋だからけしからんと外から言われて、多分あのとき、多くの日本人は何言ってんだろうとそんなことに、俺たちの働き方になんで文句言われなきゃいけないんだって内心思いながら、

内需拡大だからしょうがないから皆さん内需拡大だから我慢して時短してくださいって、何かすごく変な話だったと思うんですが、なんかねそういう話でもないとなかなかものごとって進まないのかなって、

ちょっとなかなか話であの、あんまり希望の持てない話ですが、そんな感じがします。

笹田：でもメンバーシップ型が強すぎるいいところでもあり悪いところでもあるんですね、確かにそんな感じもあるなという気が私も確かに思います。

はい、ありがとうございました。

先生：はい安藤さんどうぞ。

労働法の

勉強してる中で、2000年以降の印象なんですけど、めまぐるしく法律がですね毎年変わってて、それほど法律詳しいわけではないんですけど、

例えば他の会社関係の会社法ですとかああいう法に比べてですね、

非常に変化が大きいっていうのやっぱりこれは労働環境法

とかやっぱりその外国との関わりとか、そういったものに合わせるために、やはり絶えず見直していかなきゃいけないっていう、こういった背景っていうのはあるんでしょうか

先生：外国との関係はむしろ近年はあまりないと思うんです。

ないと思います。

やはり、むしろその

結構あのね、割とその結構いろいろこの今日の労働時間もそうですし

あの1回目のときにお話したあの派遣の関係もそうですし割とその

いろいろその短い期間の間でも、せめぎ合ってあっち行ったりこっち行ったりっていうのがあるために、これがあの、こういう形で頻繁な法改正っていう形に、反映してる面が強いんだろうと思います。

外国の面って、あんまり

そういうのから言うと21世紀入ってから、だと

あんまりない。

んじゃないかなっていう気がします。、

安藤：そうすると、

社会の背景ですとかそういった要望とかそういったものを受けてという

先生：そうですね。

率直に言ってその日本経済の存在感がやっぱり、かつてに比べてだんだんだんだん小さくなってくると、かつてのその80年代にその日本の貿易黒字が諸悪の根源だっていう欧米が一緒になって日本を叩きに、

回ってたような時代とは全然違ってて。

あんまりそういうことで日本に圧力をかけるっていうことってあの、最近非常にあのなくなってます。一時は、アメリカが毎年のように

ファインチ要求書なるものを出してですね、それをその鬼の首とったみたいに、アメリカもこう言ってんだからそういうふうにしなきゃいけないみたいなことをやるっていうのも結構多かったんですが、

最近もうそんなのは絶えて見なくなりました。

そういう感じです。

安藤：はいありがとうございます。

先生：いいですか。

よろしいですか。

ちょっと若干早いですが、ただあの途中の休憩もなかったんであのそういう意味からいうとちょっと時間が少しオーバーしてるきらいはありますが、今日はここまでというふうにしたいと思います。

休憩なしに一気通貫で

3時間付き合っていただきありがとうございました。来週は、この続きというかこの後労働時間っていう、賃金職政策ということで、結構いっぱい中身あるけどやはりこれも働き方改革で、同一労働同一賃金という。

あのかなりインチキな看板を掲げて行われた、非正規労働の均衡処分の問題っていうのがあってこれもあの

まともに議論しだすと結構大変深いんで、ちょっと今日の失敗に鑑みて、もう少しあの、もしあの、ペースを落とす形でやりたいとは思ってるんですが実際どうなるかはわかりません。

じゃあ来週またこの時間にお会いしたいと思います。

今日はありがとうございました。

ありがとうございました。